ナノブリッジの挑戦
2022-07-21 15:14:11

国産半導体技術「ナノブリッジ」がIoT機器の消費電力を劇的に削減し事業を推進中

イノベーションを起こすナノブリッジ・セミコンダクター社の取り組み



2023年、ナノブリッジ・セミコンダクター社(NBS)が、IoT機器の消費電力を1/10に低減する革新的な半導体技術を持つ企業として注目を浴びています。NBSは2019年9月にNECの研究者によって設立され、NanoBridgeという技術を開発しました。この技術は、固体電解質中の金属原子の析出や溶解を印加電圧で制御し、LSIの配線間にナノメートルサイズの金属架橋(ブリッジ)を生成・消滅することで、スイッチのオン・オフを実現するものです。

このNanoBridgeの特筆すべき点は、回路の書き換えが可能で、オン・オフ状態の維持に電力を消費しない、不揮発性の特性を持っています。さらに、高い放射線耐性や温度耐性も有しており、特に航空宇宙や通信インフラでの利用が期待されています。今回、シリーズA2資金調達を実施し、新たな成長へ向けた第一歩を踏み出します。

今後の展開と挑戦



NBSは資金調達を通じて、特に耐放射線性が求められる航空宇宙や通信インフラ向けに、NanoBridge FPGAの設計ツールを整備し、その利便性を高める計画です。また、国内外の製造業ニーズに応じた幅広い展開を検討し、IoTデバイスや自動車向けに充実したサービスを提供する意向を示しています。

さらに、NBSは増資金を活用して半導体デバイスおよび回路に関する研究者やエンジニアの採用を進め、技術の進化に欠かせない人材の確保にも全力を尽くします。

事業の意義と市場のニーズ



ナノブリッジ社の技術は、従来の電子機器における消費電力の問題を解決する可能性を秘めています。特に、宇宙空間での放射線耐性や消費電力削減は、重要な課題です。現在、日本国内で製造される中型の人工衛星の中核部品の多くが海外からの輸入に依存しており、高コストや輸入制限が開発を阻害しています。そのため、国産化の進展が強く求められています。

NBSのNanoBridge FPGAは、このようなニーズに応えるために設計されており、宇宙向けの応用が期待されています。この技術は、革新的な衛星技術実証機において実証済みであり、開発体制は実用段階に進んでいます。また、ユーザーにとってより自由で安価な設計が可能になることで、宇宙での半導体利用のハードルを下げ、スペース・デモクラタイゼーションを促進するでしょう。

一方、IoTの飛躍的な普及も見逃せません。2023年には、世界全体のIoTデバイス数が約340億台に達する見込みです。この急増するデバイス群に伴い、ネットワークのキャパシティ不足が懸念されています。これを解決するための手段として、「エッジコンピューティング」が注目されています。

今後のビジョン



エッジコンピューティングは、IoTデバイス生成の場で直接演算処理を行うことでデータ通信量を削減し、効率的な管理を実現します。しかし、これには低消費電力で動作する論理集積回路が必要です。NBSは、NanoBridge FPGAを用いて、AI処理を低消費電力で行える環境を提供することで、環境保全にも寄与できるグリーンなIoT端末の普及を目指しています。

ナノブリッジ社の取り組みは、業界に新たな風を吹き込むと同時に、持続可能な未来を実現するための一歩を踏み出しています。私たちもその進展に期待し、注目していきたいところです。

会社情報

会社名
ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社
住所
茨城県つくば市千現2-1-6つくば研究支援センターA-20-1
電話番号
029-855-3555

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