飢餓人口、依然として高止まり
国連の五つの専門機関が発表した最新の「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書によると、2023年には世界中で約7億3,300万人が飢餓に直面しています。これは約11人に1人が影響を受けている計算になります。特にアフリカでは深刻な状況が続き、5人に1人が飢餓の危機に晒されています。この報告は、ブラジルで行われたG20の閣僚級会合に合わせて特に強調され、2030年までの「飢餓をゼロに」という持続可能な開発目標(SDGs)に関する進捗が大きく遅れていると警告しています。
世界の栄養不足
さらに、栄養不足の人々の数も依然として高く、2023年には約7億5,700万人が栄養不足に陥っています。これは、2022年の数値からわずかに改善されたものの、依然として憂慮すべきレベルです。この状況は、2019年と比べて約1億5,200万人も増加しています。地域ごとの飢餓の傾向は異なり、アフリカでは飢餓の割合が上昇し続けている一方で、アジアでは横ばいの状態が続いています。
食料不安と健康的な食事
食料不安もまた重要な問題で、2023年には約23億3,000万人が中程度または重度の食料不安を抱えており、特に8億6,400万人以上が深刻な食料不安に見舞われています。このような状況はCOVID-19の影響で急増し、以降は大きな変化がありません。特にアフリカでは、人口の58%が中程度または重度の食料不安に悩まされています。
健康的な食事が取れないという問題も深刻で、2022年には28億人以上が経済的な理由で健康的な食事を摂れない状態にあり、この問題は特に低所得国で顕著です。例えば、低所得国では71.5%が健康的な食事を手に入れることができませんが、高所得国ではその割合は6.3%にとどまっています。
栄養不良の現状
乳児の完全母乳育児を受けた割合は48%に上昇しているものの、国際栄養目標の達成は依然として課題です。低出生体重児の割合は約15%で停滞し、5歳未満児の発育阻害も22.3%に減少しましたが、依然として目標には届いていません。
さらに、成人の肥満率も過去10年間で着実に増加しており、予測では2030年までに成人の肥満は12億人を超える見込みです。栄養不良の二重負担、すなわち栄養不足と肥満を同時に抱える人々の数も急増しており、これが全ての年齢層にわたる複雑な課題を浮き彫りにしています。
資金調達の必要性
今回の報告書では、「飢餓、食料不安、あらゆる形の栄養不良をなくすための資金調達」がテーマとされ、農業・食料システムの変革や不平等解消の重要性が強調されています。特に、食料安全保障と栄養のための資金調達を徹底的に行うことが必要とされ、国連機関のリーダーたちもその必要性を訴えています。
国連の各機関のリーダーたちは、食料安全保障と栄養のための資金不足を埋めるため、革新的な資金調達方法を導入することが喫緊の課題であると強調しています。また、データの調和や透明性向上を通じて、食料不安と栄養不良を引き起こす主な要因への対処が求められています。
私たちは、現在および将来の世代に健康で十分な食料を確保するために、あらゆる努力をし、問題の解決に取り組む必要があります。このように、国際的な協力と財政的支援が求められている中で、2030年に向けた食料保障の確保はますます難しい局面を迎えています。