Craifが開発した新生児向けSMAスクリーニングキットの革新性
Craif株式会社は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の早期検出と治療を目的とした新しいスクリーニングキットを開発しました。この革新的なキットは、新生児の健康を守るために重要な役割を果たすことが期待されています。特にSMAは先天性の遺伝性疾患であり、乳幼児期に発症することが多いため、早期の発見が鍵となります。
SMAの現状と課題
SMAは、神経細胞の変性により筋力が低下する病気です。重症の場合、呼吸や飲食が障害されることもあり、治療が遅れると致命的な結果を招く恐れがあります。最近ではSMAの治療法が進展していますが、発症以前に検査を行うことでより効果的な治療が可能になります。しかし、現在のスクリーニング方法は、採血を必要とし、結果が出るまでに約1〜2週間かかるため、早急な治療の決定が難しいという問題があります。これを踏まえ、Craifは新生児誕生後1.5時間以内に検査結果が出る方法を開発しました。
新しいスクリーニングキットの特徴
この新しいSMAスクリーニングキットは、めざましい簡便性が特徴です。だ液を使用しており、特殊な検査設備が不要で、誰でも簡単に操作できます。また、検査結果はその場で確認でき、新生児にとっての負担も軽減されています。このスクリーニングキットでは、PCRを用いてDNAを増幅し、特定の遺伝子の有無を迅速に検査します。
検査の流れ
1.
試料採取: 新生児からだ液を採取し、試薬と混合します。
2.
DNA増幅: 混合された試料をPCR法によりDNAの増幅を行います。
3.
自動判定: スクリーニングキット内で結果を視認し、2本の青色バンドが出現すれば健常、1本だけの場合はSMAの可能性が高まります。
詳しい手順を知りたい方は、
こちらの動画をご覧ください。
今後の展望
Craifは現在、前向き臨床試験を行なっており、今後さらなる規模の拡大を計画しています。この技術は、SMA以外の遺伝性の病気に対するスクリーニングへと応用が期待されています。この取り組みにより、新生児期における多くの疾患を早期に発見し、適切な治療に繋げることを目指しています。
学会での発表
このスクリーニングキットの研究成果は、第51回日本マススクリーニング学会学術大会にて発表され、専門家の間でも高い評価を得ています。学会は2024年8月23日から24日まで熊本で開催される予定です。
Craifについて
Craifは2018年に設立され、名古屋大学発のバイオベンチャー企業です。「NANO IP®︎」という技術を駆使して病気の早期発見や個別化医療の実現に向けた研究を推進しています。今後も医療現場での役立つ技術を発展させていくことでしょう。詳しい情報は
こちらをご覧ください。