世界初！ヨード処理人工股関節全置換システムが日本で承認へ

世界初のヨード処理人工股関節全置換用システム

現在、整形外科の分野において新たな革命が起ころうとしています。Zimmer Biomet社が発表した、世界初のヨード処理技術を利用した人工股関節全置換用システム「iTaperloc® Complete」と「iG7™ Hip System」が、医薬品医療機器総合機構（PMDA）から薬事承認を受けることとなりました。この革新的な技術は、インプラント表面に付着する細菌の抑制を目的としており、手術後の感染のリスクを大幅に低減する期待が寄せられています。

ヨード処理技術の意義とは？

人工股関節の周囲で発生する感染（PJI）は、手術後の重篤な合併症の一因として知られています。この感染症は再置換術を必要とする場合が多く、初回手術に対して約1から2%の確率で発生するとも推測されています。手術後のPJIによる死亡率は、乳がんの5年生存率に匹敵するほど深刻な問題です。したがって、感染症の予防は、整形外科手術における重要な課題となっているのです。

横浜栄共済病院の院長であり、金沢大学の名誉教授である土屋弘行教授は、「このヨード処理技術を利用することで、インプラントの表面に細菌が付着するのを防ぎ、手術後の感染リスクを軽減することができる」とコメントしています。新たに開発された「iTaperloc」や「iG7」は、すでに臨床実績が証明された既存のシステムにこのヨード処理技術を導入しています。

ヨードの特性とその利点

ヨードは生体において衛生的であり抗生物質耐性を引き起こさない性質から、長年にわたり消毒薬として使用されてきました。この技術では、製造過程でインプラント表面にヨードを取り込ませることで、術後の細菌付着やバイオフィルムの形成を抑制します。これにより、手術後の感染予防における新たな希望が生まれています。

Zimmer Biometの会長兼CEOのIvan Tornos氏は、「感染予防から製品の再置換に至るまで、私たちのソリューションがさらに強化された」と語ります。

Zimmer Biometの使命とビジョン

Zimmer Biometは、モビリティの向上と健康の促進を目指し、革新的な医療機器を提供するグローバルリーダーです。90年以上の実績を持つ同社は、人工関節や骨接合材料に注力し続け、患者と医療従事者に対して最高品質のソリューションを提供することを追求しています。

今後も、手術支援ロボットや再生医療のような先端技術の導入を通じて、同社はより多くの患者のQOLの向上に貢献していくことでしょう。