アドバンテック、AMR制御に特化したシステム「AFE-R770」をリリース - 次世代AMR開発を加速する高性能システム

人手不足や人件費高騰といった課題が世界的に深刻化する中、自律搬送ロボット(AMR)の導入は、製造業や物流業界を中心に加速しています。アドバンテック株式会社は、このAMR市場の更なる発展を見据え、AMR制御に特化した専用システム「AFE-R770」を新たに開発し、発売を開始しました。

「AFE-R770」は、AMRの開発において求められる高い性能と信頼性を兼ね備えたシステムです。筐体サイズは、AMRへの搭載を考慮したコンパクト設計でありながら、ワイドレンジの動作温度・電圧範囲に対応することで、過酷な環境下でも安定した動作を実現します。さらに、耐衝撃性や静電気対策、無線接続性など、AMRへの組み込みに最適な設計が施されています。

多彩な周辺デバイスとのシームレスな接続をサポート

「AFE-R770」は、LiDAR、カメラ、IMU、車両、バッテリーなど、AMRに必要とされるさまざまな周辺デバイスとの接続をサポートします。特に、AMRフォークリフトでの利用を想定し、LiDARやカメラの接続用として2.5ギガビット対応のLANポートを4つ搭載。消費電力の高いTOFカメラにも対応するため、1.5Aの消費電流に対応したUSBポートも備えています。さらに、車両部との統合をスムーズに行うためのCANBusやCOMポート、アラームや緊急スイッチ、警告灯などの制御用として絶縁型16ビットDIOを搭載しています。

入力電圧は9〜36V DCとワイドレンジに対応し、バッテリー駆動中の電圧変動を吸収して安定動作を実現。イグニッションスイッチ設計により、従来型のフォークリフトから完全電動式のフォークリフトまで幅広く対応可能です。

限られたスペースへの搭載を可能にする薄型設計

AMRは、運搬効率を上げるために荷台スペースの確保が重要となります。そのため、制御システムの設置スペースは限られる傾向にあります。「AFE-R770」は、この課題に対応するため、高さをわずか55mmに抑えた薄型設計を採用。限られたスペースにも容易に搭載できます。また、狭いスペースでの熱対策も重要な課題となりますが、「AFE-R770」は、筐体の放熱設計を強化することで、ファンレスモデルは最大65℃、外部ファンを追加することで最大70℃までという高い動作温度に対応します。

広い敷地での安定動作と接続性を確保

従来の固定された装置と異なり、自律走行を行うAMRはアースが取りづらく、ノイズや静電気の影響を受けやすいという課題があります。「AFE-R770」は、この課題を克服するため、重要なI/Oインターフェースに絶縁設計を採用。TVS保護機能を備えたESD保護により、接触放電で8KV、空中放電で15KVという高い耐静電気性能を実現し、ノイズや静電気の影響を受けずに安定動作を可能にします。

広い屋内スペースでの運用では、異なるアクセスポイント(AP)に切り替わる際にネットワークが切断される問題が発生することがあります。「AFE-R770」は、M.2接続のワイヤレスモジュール「AIWシリーズ」を搭載することで、高速ローミング機能と、ネットワーク信号強度検出機能を実現。移動中でも常に最適なAPとシームレスに接続することで、ネットワーク切断問題を防止します。

「ROS2 Suite」でAMR開発を加速

アドバンテックは、AMR開発者向けに、ソフトウェアとハードウェアの互換性テストやドライバー、ROS環境、ユーティリティ、AIツールなどをパッケージ化した「ROS2 Suite」を無償で提供しています。この「ROS2 Suite」により、開発者はAMRの制御パラメータの調整や、サンプルコードなどを活用することで、開発効率を大幅に高めることができます。

まとめ

アドバンテックの「AFE-R770」は、AMR開発において求められる高い性能と信頼性を兼ね備えたシステムです。豊富なI/Oインターフェース、熱対策、安定した動作環境など、AMR開発の効率化に貢献する数々の機能を搭載しています。「ROS2 Suite」との連携により、開発者はよりスムーズにAMR開発を進めることができます。「AFE-R770」は、次世代AMRの進化を加速させる、画期的なシステムと言えるでしょう。