コロナ後の飲食業界：経営者が描く成長戦略の新たな道筋

近年の飲食業界は新型コロナウイルスの影響を受け、大きな変化の波にさらされています。今回は、2020年に行われた調査を元に、飲食店経営者の声を探り、新たな成長戦略について考えてみたいと思います。

調査の背景

2020年8月に実施されたインターネット調査では、飲食店経営者・役員105名を対象に、新型コロナウイルス前後での事業の変化について意見を求めました。この調査の目的は、コロナウイルスによる飲食事業の成長戦略にどのような影響があったのかを探ることです。

売上の変化

調査結果からは、経営者の約90％が売上の変化を感じていることがわかりました。具体的には、「大きく変化した」と答えたのが71.4％、「変化した」が18.1％。さらに、売上が減少したと感じている経営者は、98.9％に達しました。この数字は、厳しい経営環境を如実に物語っています。

事業戦略の見直し

約80％の経営者が事業戦略を見直すか見直しを検討している状況です。見直しの内容には「人件費と営業時間の調整」、「消毒液の使用徹底」、「三密回避策の導入」などがあります。特に多くの経営者が、人件費を抑えるための施策や、営業時間の短縮についての意見を挙げています。

外部資本への依存

2020年2月以降、外部資本を投入せずに自社独立で運営を続けている経営者は79.0％で、コロナ以前と比較して微減しました。このデータは、飲食店が自前主義から、より外部との連携を強めていく必要性を認識し始めたことを示しています。

今後の成長戦略

経営者たちは今後、どのような分野に取り組もうとしているのでしょうか。「新規事業の立ち上げ」が51.4％、「マーケティングの強化」が47.6％、そして「他社との提携」が17.1％という成果となりました。また、M&Aも12.4％が関心を示しています。これにより、他社との連携を意識した新たな戦略が注目されています。

M&Aの実施と意向

新型コロナウイルス以後にM&Aを実施した経営者は23.1％、さらに事業の成長戦略としてM&Aを利用したいと考える経営者は約4割にのぼります。M&Aを考慮する理由には、外部の知見や資金を得て、競争力を高める狙いがあります。

結論

新型コロナウイルスの影響は飲食業界に大きな打撃を与えていますが、経営者たちは新たな考えや戦略で復旧を目指しています。独立した経営モデルから、今後は他社との連携による共存共栄の道が模索され、飲食業界の再生につながるかもしれません。専門的な支援があれば、さらに多角的な視点で成長戦略が立てられるでしょう。今後の動向には、大いに注目したいところです。