準天頂衛星「みちびき」による漁業革新と災害対策の新サービスの実証
近年、水産資源の持続可能な管理と違法操業の防止が世界的な課題となりつつあります。この中で、漁業の効率性や安全性を確保するために衛星測位技術の導入が急務となっています。そこで、我々は準天頂衛星「みちびき」を用いた実証実験を行い、インドネシアとフィジーを対象にこれらの課題の解決に向けた取り組みを進めました。
実証実験の目的と背景
漁業者にとって、操業ポイントの正確な把握は作業効率の向上に直結します。そこで、私たちは漁業者のニーズを把握しつつ、最新の衛星測位技術による高精度な操業支援を目指しました。また、自然災害や危機管理に素早く対応できる体制を構築することも重要です。本実証を通じて、これらの課題を解決する新たなアプローチを追求しました。
実証内容
本実証では、以下の三つのサービスを検証しました。
1.
高精度測位補強サービス(MADOCA-PPP)
漁業者が操業ポイントを正確に把握し記録しやすくするため、高精度な測位が実現しました。特に一本釣りなどピンポイントで行う漁法において、操業効率の向上が期待されています。
2.
災害・危機管理通報サービス
自然災害が発生した際、海上での情報取得は難しいため、準天頂衛星「みちびき」からの通報サービスを活用し、漁業者が迅速に災害情報を得られる仕組みを検証しました。この取り組みは、漁業者の安全を大きく向上させるものとなるでしょう。
3.
信号認証サービス
漁業者が衛星測位情報を改ざんする「なりすまし」に対抗するため、受信データの真正性を確保する仕組みを構築しました。これにより、適正な操業証明が可能になることを確認しました。
今後の展望
本実証で得た成果を基に、我々は漁業者向けの次世代IoT機器「トリトンの矛」の開発を進めます。第一段階として災害・危機管理通報サービスを搭載し、続いて高精度測位補強サービスや信号認証を追加する計画です。また、違法操業対策のみならず、水産資源管理や海洋安全に向けたさらなる技術開発も推進していく考えです。
オーシャンソリューションテクノロジーとは
オーシャンソリューションテクノロジーは、衛星測位技術を駆使した水産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業です。持続可能な水産業の実現を目指し、最新技術を駆使した革新的なソリューションの提供に取り組んでいます。これにより、今後の漁業がより安全で持続可能なものとなることを期待しています。