マルチビーム社が日本に営業拠点を開設
世界で注目を集めるEビーム露光装置のサプライヤー、マルチビーム社(Multibeam Corporation)が2025年4月1日に東京都港区六本木に営業拠点を開設します。この拠点の開設により、直接書き込みEビームリソグラフィ技術を利用した新しい半導体製造の可能性が広がることが期待されています。
マルチビーム社の背景
マルチビーム社は、カリフォルニア州サンタクララに本社を置く企業で、製造用電子ビーム露光装置のリーディングサプライヤーとして知られています。同社は、昨年MB200プラットフォームを発表し、ファウンドリ顧客であるSkyWater Technology社に初めて製品を納入しました。この製品は、急速に高まるチップの設計・製造サイクルの需要に応えるために開発され、運用コストを削減し、生産までの時間を短縮することを目的としています。
営業拠点開設の意義
マルチビーム社の日本オフィスの開設は、日本の半導体産業において重要な一歩です。同社社長のケン・マクウィリアムズ氏は、日本が半導体産業を再生させる取り組みの一環として、同社のプレゼンスが大きな影響を与えると語ります。特に、日本の半導体業界は、技術革新や差別化を求めているため、マルチビームの技術は重要な役割を果たすことが期待されています。
基調講演と技術者の声
新拠点の開設に伴い、マクウィリアムズ社長は4月16日にパシフィコ横浜で開催される「フォトマスク・ジャパン」イベントで基調講演を行います。講演のテーマは「次世代セミテクノロジーの迅速な生産」で、製品化までの時間を短縮すると同時に高生産性を実現する直接書き込みEビームリソグラフィとの統合について語る予定です。
この基調講演は、技術者や業界関係者が集まる重要な機会となり、マルチビーム社の新しい技術がどのように半導体産業を支えるのかが議論されます。特に、最新のEBL技術は、パッケージング用途でも効果を発揮し、高いチップ間の性能レベルに到達する可能性を秘めています。特に関心を寄せているのは、電力、フォトニクス、MEMs分野における応用です。これにより、業界全体の革新を加速することが期待されています。
新技術の流れとメリット
マルチビーム社のプラットフォームは、複数の超小型柱を用いた新しいアーキテクチャを採用しており、従来のEBLシステムに比べるとスループットが100倍以上向上しています。これにより、高解像度で大きな焦点深度を持つ露光が可能になり、パターンを高精度に仕上げることができます。シノプシスEDAを使ったミックス&マッチ方式も可能になり、柔軟性のある生産プロセスが実現します。
まとめ
このように、マルチビーム社の日本への進出は、半導体業界のさらなる発展に貢献することが期待されています。マルチビームの新技術と日本の技術者たちのあいだで新たなシナジーが生まれることで、日本の半導体産業の競争力が高まることになるでしょう。業界の関心が高まる中、今後の展開から目が離せません。