退役航空機のリサイクル事業が航空業界の脱炭素化に貢献
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、航空機に多く用いられる「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」のリサイクル事業に本格的に着手します。この事業は、退役した航空機から発生するCFRPを回収し、再び新たな航空機に活用することを目指しています。この取り組みにより、航空業界の脱炭素化を実現するとともに、資源循環型経済の発展にも寄与することが期待されています。
1. 概要
航空業界では、2050年までのカーボンニュートラルを視野に入れたさまざまな取り組みが進行中です。CFRPは、その軽量さと高強度が評価され、航空機に広く使用されています。これは、燃費向上やCO₂排出の削減に寄与する重要な素材です。しかし、航空機の運用寿命には限りがあり、2030年から2045年にかけて多数の航空機が退役すると予想されています。これに伴い、使われなくなるCFRPの適切な回収と再利用が急務となっています。
最近の研究により、CFRPの原料である炭素繊維(CF)のリサイクルが、新品材に比べて製造段階のCO₂排出量を大幅に削減できることが明らかになっています。この背景を踏まえ、NEDOはCFRPのサプライチェーンを確立することを目指しており、その中には機体の解体・切断からCFの回収・再生までのプロセスが含まれます。この新たな取り組みは、航空業界における動脈産業と静脈産業を結びつけ、持続可能な航空機製造への道を開くことでしょう。
2. 採択テーマ
本事業の初期段階では、リサイクルサプライチェーンの形成に必要な条件と課題を明確化し、事業として成立するための最適なモデルを模索します。その上で、以下の技術開発が行われる予定です。
- - 退役航空機からCFRPを効率的に回収するための解体および切断技術の開発
- - 環境に優しいCFの回収・再生技術の構築
- - 再生材料を使える形に整える基材化プロセスの確立
さらに、再生材料の特性評価を行い、航空機の二次構造部品や内装部品への適用に向けた要件定義やテストを進める計画です。
3. 事業全体の概要
本事業は「次世代航空機向け静脈産業構築事業」として、2026年度から2030年度にかけて行われます。予算は5.4億円が確保され、具体的な技術開発とサプライチェーンの構築が中心となります。この取り組みには、国立大学法人東海国立大学機構、一般財団法人ファインセラミックスセンター、株式会社SUBARU、株式会社ジャムコ、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構などが関わります。
このプロジェクトは、持続可能な航空機製造が進む未来を見据え、環境保護と経済成長を両立させる重要なステップとなるでしょう。航空業界の脆弱性を克服し、資源を循環させることで、肩を寄せ合うような持続可能性を追求する姿勢が求められています。
NEDOの取り組みは、航空業界のデジタル化やエコ化を進める上での道しるべとなることは間違いありません。この新たな静脈産業の構築により、未来の空の旅がより環境に優しいものとなることを期待しましょう。