フィジーで進行中の漁業支援実証実験
2024年7月、オーシャンソリューションテクノロジー株式会社が内閣府および準天頂衛星システムサービス株式会社と共に、フィジー共和国で実施する信号認証サービスを活用した実証実験が注目を集めています。この実証実験の目的は、適正な漁業操業の安全性を確保し持続可能な水産業の確立を図ることです。
背景と目的
現在、世界中の水産業は、持続可能性や資源管理の観点で多くの課題に直面しています。特にIllegal, Unreported and Unregulated(IUU)漁業、すなわち「違法・無報告・無規制漁業」による影響が深刻で、これが水産資源の枯渇を引き起こす原因となっています。
これらの問題を解決するために、本実証実験では信号認証サービスが導入され、正確な位置情報を提供することで、IUU漁業の撲滅や漁業操業の透明化を目指します。加えて、災害や危機管理に関する情報をリアルタイムで漁業者に通知することで、漁業者の安全対策を強化することも狙いです。
実証実験の内容
実証実験はフィジーの現地で行われ、主に以下の内容が確認される予定です。まず、信号認証サービスと高精度測位補強サービスであるMADOCA-PPPを用いて、得られた位置情報が正確にクラウドサーバに保存されるかどうかを確認します。次に、準天頂衛星「みちびき」の災害・危機管理通報サービスを受信し、その信号が船員に適切に伝達されるかの検証も行います。これにより、洋上での安全性が大きく向上することが期待されます。
トリトンの矛と利活用
さらに、オーシャンソリューションテクノロジー株式会社が開発した漁業者支援サービス「トリトンの矛」が、本実証実験でも重要な役割を果たします。このサービスは、漁業操業中の位置や速度、時間などのデータを収集し、L、LTE(4G)通信網を介してクラウドに送信することで、漁船の航跡を記録し、漁業者や行政機関に向けて詳細な操業レビューを提供します。この情報は操業効率の向上や資源管理のデータ活用に貢献することでしょう。
地域社会への影響
フィジーのような太平洋の島嶼国は、地震や火山の噴火による津波のリスクが高いため、漁業者に対するリアルタイムでの情報提供が特に重要です。フィジーにおけるマーベリックな試みであるこの実証実験を通じて、漁業者の安全性や水産業の持続可能性がどのように向上するか、今後の報告が注目されます。
オーシャンソリューションテクノロジー株式会社は、このプロジェクトを通じて新たな価値を創出し、地域社会や環境保護に貢献することを目指しており、今後もさらなる発展が期待されるところです。