財務コントローラーの未来
2025-01-17 14:08:33

アジア太平洋地域の財務コントローラーが迎える未来の変革と課題

アジア太平洋地域の財務コントローラーの未来



EYの新たな調査「2024 EY DNA of the Financial Controller Report」によると、アジア太平洋地域の財務コントローラーたちは、今後5年間でその役割が大きく変わると予測しています。具体的には、88%の回答者が2030年までに職務が劇的に変わると信じており、35%は価値創造に重きを置くようになると見込んでいます。しかしながら、多くの財務コントローラーはこの変化に必要な支援が不足していると感じています。

財務コントローラーの役割の変化



調査によると、今後10年間で新たなスキルが求められると考えている財務コントローラーは23%に達し、現状維持を望むのはわずか12%に過ぎません。これは、複雑化するビジネス環境において、財務コントローラーがますます戦略的な役割を担っていくことを示しています。

EYアジア太平洋のアシュアランスリーダー、マイク・ライト氏は「財務コントローラーの職務は急速に変化しており、コンプライアンスの確保から成長を支援する役割へとシフトしています。この変化を成し遂げるためには、必要なリソースと支援が不可欠です」と述べています。

AIとデータの重要性



調査では、71%の財務コントローラーが日常業務にAIを取り入れており、84%がデータを活用して戦略的なインサイトを提供していることが明らかになりました。AIは、財務管理のプロセスの最適化に寄与する一方で、依然として多くの財務コントローラーが必要な支援を得ていない実態があります。同調査に参加した財務コントローラーの中で、約10%は必要な人材や予算が不足していると回答しています。

一方で、新興技術への対応に関しては、65%の財務コントローラーが企業成長を促進する観点から重要視していますが、テクノロジー活用の機会を模索する回答者は28%にとどまっており、成長の原動力としてテクノロジーを見逃している現状も指摘されています。

価値創造への転換



財務コントローラーの役割が単なるコスト削減から価値創造へ転換しつつある中、調査でも多くのコントローラーが価値創造の必要性を認識していますが、実際には未だにコスト削減戦略を追求する割合が高いという矛盾が存在します。そのため、業界全体で価値創造を実現するためには、さらなる教育やリソースの強化が求められます。

また、財務コントローラーの中でも自信のあるグループ、いわゆる「confident controller」は、イノベーションを推進する姿勢が強く見られ、42%が語っている一方で、他のコントローラーでは27%にとどまるといった大きな差があります。これは、今後の役割やキャリアビジョンに影響を与える重要な要素となるでしょう。

結論



本調査は、アジア太平洋地域で財務コントローラーが直面する変化と課題を浮き彫りにしています。彼らが価値創造を実現し、新しいスキルを習得するためには、新たな責任が求められます。データ、AI、サステナビリティへの対応、未来への準備、自信を持って行動することで、企業の成長を加速する役割を果たすことが期待されています。

マイク・ライト氏は「より良い未来を実現するためには、財務コントローラー自身が変革を導いていく必要がある」と強調しています。この調査から得られる洞察は、財務業界全体のスタンスやアプローチに影響を与えることでしょう。

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