栄養介入によるデイサービス利用継続率の向上
2024年12月7日(土)~8日(日)、神戸商工会議所会館で開かれた『日本デイケア学会 第29回年次大会 兵庫大会』において、ネスレ日本株式会社が重要な研究成果を発表しました。この研究では、デイサービスにおける早期の栄養評価および介入が、利用者の継続利用率をどのように向上させるかに焦点が当てられました。
出発点となった背景
日本におけるデイサービス事業所の多くは経営課題を抱えており、約半数が赤字経営となっていると言われています。その大きな要因の一つが、利用率の低下です。このような現状の中、早期の栄養評価と適切な栄養介入がいかに効果的であるかを探ることが重要です。
早期栄養介入の具体的な効果
研究によれば、デイサービスを利用する高齢者の27.2%が低栄養やそのリスクを抱えていることが明らかになりました。そこで、低栄養リスクがある利用者に対し、経口栄養補助食品(ONS)の摂取を通じて介入を行った結果、通常の介護と比較してデイサービスの利用中止率が有意に減少することが示されました。この結果は、栄養が健康に与える影響の重要性を裏付けています。
経済的影響
本研究では、早期の栄養評価・栄養介入がデイサービスの経営コストに与える影響を考察しました。特に、ONSを利用した介護では、デイサービス利用者一人当たりの利用期間が平均15か月増加し、その結果として生じる財務的な効果が見込まれました。具体的には、デイサービスによる総売上において、Life Time Valueが997,500円の増加が予測されています。
さらに、デイサービスの利用中止による損失額についても検討され、ONSを使用した場合の損失額が、通常の介護と比べて一月あたりの損失額が42,560円に対して、通常の介護では85,120円になることが明らかになりました。この差額は、一年間では約50万円に達する可能性があり、経営改善に繋がることが期待されます。
資料提供と今後の展望
発表された資料からは、体重やBMI、握力などの指標が栄養介入によって有意に改善することも確認されています。このようなデータは、デイサービスにおける栄養的支援が単に健康改善に留まらず、経営上の持続可能性にも寄与することができることを示しています。
ネスレ日本は今後も研究活動を続け、革新的な栄養ソリューションを提供することで、デイケアの分野でのプロフェッショナルとの連携を深め、より多くの人々が健康に生活できるよう支援を行っていく方針です。
結論
この研究成果は、デイサービスの運営に新たな視点を提供し、栄養介入がサービスの質を向上させることができることを証明しています。ネスレ ヘルスサイエンスによるこれらの調査は、今後のデイサービス利用者へのより一層の支援を可能にするものと期待されています。