AI病理画像解析の共同研究
2021年5月、北海道大学、NTT東日本、調和技研は、脳腫瘍病理の診断に特化したAI病理画像解析の共同研究をスタートしました。この旨、各社の専門的な知見と先進的な技術を持ち寄ることで、診断の精度向上と病理医の負担軽減を狙います。
1. 研究の背景
病理診断は、患者から採取された腫瘍組織を病理医が顕微鏡で観察し、病の種類や良性か悪性かを明確にする重要なプロセスです。しかし、近年は診断が高度化し、専門の病理医には多大な労力が求められるようになっています。特に脳腫瘍の病理診断は、高度な専門知識と経験が不可欠であるため、その負荷は計り知れません。このため、AI技術を活用した支援が急務となっています。
2. 共同研究の目的
本研究の目的は、AIにより脳腫瘍の病理画像解析の精度を向上させ、病理医の作業負荷を軽減することです。北海道大学における脳腫瘍の画像解析研究、NTT東日本のAIによる実証環境、調和技研の技術力を掛け合わせ、効果的な病理診断支援システムを構築します。
3. 共同研究の実施概要
共同研究では、以下のようなステップを踏んでAI病理画像解析の精度向上を目指します。
1. 学習用データとなる病理画像を準備する
2. 病理画像に良性・悪性、組織型などの診断情報をタグ付けする
3. AIモデルの選定および学習方法を検討する
4. GPUサーバを用いたAIの学習を進める
5. 最終的に、AIアルゴリズムの確立とその精度検証を行う
研究の成果は脳神経外科病院や検査機関と連携しながら、実証フィールドでさらに検証される予定です。
4. 各社の役割
各社はそれぞれの強みを生かし、次のような役割を果たします。
- - 北海道大学: AIアルゴリズムの研究・精度向上、実証フィールドの検討と提供
- - 調和技研: AIアルゴリズム研究の技術支援
- - NTT東日本: AIサーバ環境や通信インフラの提供
5. 今後の展望
共同研究を通じて、AI病理画像解析の精度向上を図るとともに、病理診断支援の実用化に向けた方策を見出します。また、地域の医療課題を解決するための実用的なサービスを開発し、多くの人々に役立つ社会実装を目指していきます。
スマートイノベーションラボ
この研究の基盤となるのが、NTT東日本が提供するスマートイノベーションラボです。ここでは、高性能なGPUサーバを活用したAI・IoT関連の共同実証環境が整備されており、各種の実験や開発が進められています。このラボを通じて、地域医療の発展に寄与する新たな取り組みが期待されています。