アルフレッサとシミックが手を組む新たな試み
シミックホールディングス株式会社は、予防接種業務を支援するアプリ「harmoワクチンケア」を展開し、医療機関向けのサービスを強化しています。現在、同社は医療用医薬品等卸売事業を手掛けるアルフレッサ株式会社と協力し、厚生労働省が主導する「予防接種事務デジタル化」事業の推進を目指しています。この協業は、進化を遂げる医療DXの一部として位置づけられ、予防接種の効率的な運用を実現するための新しいプラットフォームの開発を視野に入れています。
デジタル化への挑戦
厚生労働省は、医療分野のDXを進めるため、紙の運用からデジタルへの移行を推進しています。シミックは、これまでの経験を生かして、「harmoワクチンケア」を通じて接種の安全性を高め、接種記録を迅速に電子カルテ転送する機能を搭載しています。そして、同アプリはマイナポータルとの連携やワクチンバーコード読み取り機能を備え、自治体や厚生労働省の取り組みとも密接に連携し、実用性向上のための実証事業にも参加しています。
現場のニーズを踏まえた支援
しかし、予防接種自体は医療機関の現場で行われるものであり、そのデジタル化には様々な課題が存在します。医療リソースのひっ迫などもあり、スムーズな導入には支援や現場での工夫が不可欠です。また、ワクチン在庫の管理現状も求められており、地域による需給の不均衡を解決するための仕組みが整っていない状況です。
アルフレッサは、医療機関との強固な取引基盤を有しており、「ワクチン供給最適化プラットフォーム」を展開しています。このサービスにより、接種希望者が24時間いつでもウェブで予約でき、医療機関の予約状況やワクチンの在庫を一元管理できます。これにより、在庫の偏在や廃棄のリスクを低減し、医療機関の業務負担を軽減することを目指しています。
未来を見据えたクラウドサービスの強化
シミックとアルフレッサは、接種管理とワクチン流通の効率化によって問題解決に取り組むことを約束しています。シミックが持つ「harmoワクチンケア」の機能と、アルフレッサのプラットフォームを統合することで、厚生労働省の医療DX施策の一環として広く普及を図り、将来的には両者が共同開発した新たなプラットフォームが、ワクチン接種業務を全般にわたって支援する役割を果たすと期待されています。
実績と信頼の確立
「harmoワクチンケア」は、2020年より数多くの医療機関で実証実験が行われ、これまでに接種事故の予防や効率的な情報提供に寄与してきました。特に2021年のコロナワクチン接種に関しては、延べ220万人以上の接種管理に利用され、多くの接種事故の防止に成功しています。今回の協業によって、さらなる実績向上が期待されます。
企業情報
シミックは、医薬品開発支援の分野で豊富な経験を誇る企業であり、医療分野でのデジタル化を推進する新たなヘルスケアソリューションの提供を目指しています。20年以上の経験を有するアルフレッサも、医療用製品の卸売業務を通じて医療現場のニーズに応え、地域包括ケアシステムの構築をサポートしています。両社の協業により、今後の予防接種業務の進化が加速することが期待されます。