ベナンの村で生きる日本女性の挑戦
日本の兵庫県出身のエケ陽子さんは、西アフリカのベナンに移住して8年が経ちました。彼女は自分の人生を大胆に変え、ベナンのトタ村に住むことを選びました。この村にはおよそ4000人が住んでいますが、彼女はこの異国での生活にどのように挑んでいるのでしょうか。
ベナン移住の背景
エケ陽子さんは結婚を機に、ベナンでの新たな生活をスタートしました。彼女は、夫との間に授かった二人の息子とともに、現地の文化に溶け込むことを目指しています。エケさんは移住の際、「子どもたちが自由にのびのびと生きられる環境」を期待し、さらにNGOの活動を通じて地域社会に貢献したいとの思いを持っていました。
しかし、実際の生活は彼女の想像を超えるものでした。当地の文化や生活様式の違いに戸惑うことも多く、「お手伝いさん」として子どもたちの面倒を見ることが求められる毎日です。
ステージ1:戸惑い
エケさんの最初のステージは、ベナンの人々との距離感や人間関係における戸惑いでした。例えば、ベナンでは他人の家に自由に入ってくることが普通であり、挨拶もとても長いという文化があります。特に年上の人を先にあいさつするという習慣から、彼女は「距離感の違い」に驚きを隠せませんでした。
加えて、学校や家庭での子どもへのしつけが厳しく、叩かれることが当たり前という文化も戸惑いの一因です。エケさんは、しつけをしないと子どもからナメられるという現実に直面します。
ステージ2:適応と学び
戸惑いを感じる中で、エケさんは自分自身を見つめるチャンスとして活かすよう心掛けました。「ベナン人はこうだ」と文句を言うのではなく、自身が試されていると捉える発想の転換を促すことで、彼女は柔軟性や忍耐力を養っていきました。この過程で、時間にルーズな文化を受け入れることや物が壊れた際の対処法を覚えていきました。
彼女はまた、料理も生活の一部とし、特にベナンの主食である「パット」を自分で作ることに挑戦しています。これまで敬遠していたこの料理にも取り組むようになり、日々の生活の中で新たなスキルを身につけていきました。
ステージ3:愛の深化
村での生活は、実は日常的な戸惑いで満ち溢れていますが、その一方で彼女はベナンの人々に対して深い愛情を抱くようになりました。エケさんは、偶然出会ったベナン人たちと自然に親しくなる様子を楽しんでいます。特に、乗り合いタクシーの中で音楽に合わせて歌う様子は、彼女にとって感動的な体験でした。
「一人の概念が薄れ、人との距離感が近いことがベナンの魅力」と語るエケさんは、まさにその温かさを肌で感じているのでしょう。この経験を通じて、彼女は村の人たちともっと話したいと願い、アジャ語を学んでいくことにも挑戦しています。
ステージ4:NGO「SaluTota」の設立
エケさんは昨年、村の女性たちを支援するためのNGO「SaluTota」を設立しました。目的は、彼女らが働ける場所を作り、経済的な基盤を支援することです。ウサギを育てて食用にしたり、伝統的な石けんを作ったりする活動を行い、地元の女性たちが自立できるよう手助けしているのです。
彼女の取り組みはまだ始まったばかりですが、資金援助を通じて女性たちのスモールビジネスが成り立つ基盤を整えようとしています。これらの活動は、エケさん自身にとっても、ベナン人たちへの恩返しの機会となることでしょう。
終わりに
エケ陽子さんが描くベナンでの生活は、確かに簡単ではありませんが、その中での成長や学びは彼女にとってかけがえのないものです。移住から8年が経ち、彼女はベナンでの生活を通じて新たな自分を発見し、愛情深いコミュニティとの絆を深めています。
少しでもアフリカの現状について興味を持ち、次の講演会で彼女の生の声に触れてみませんか?エケさんは、彼女の経験を通して、もっと多くの人々が異文化理解を深める手助けができると信じています。