宮津市とNTT西日本が切り拓く自動運転の未来
京都府北部に位置する宮津市が、NTT西日本とNTTビジネスソリューションズと共に「自動運転社会実装推進事業コンソーシアム」を結成し、新たな地域交通の形を模索しています。この取り組みは2024年5月に始まりますが、自動運転の導入は地域の交通問題を解決するための重要なステップとされています。
1. 自動運転社会に向けた背景
地域交通の維持やドライバー不足といった問題は、日本全国に広がる社会課題です。国土交通省は、自動運転技術の活用を通じて持続可能な公共交通と物流の拠点を増加させる目標を掲げています。具体的には、2025年度中に50カ所、2027年度までに100カ所以上を目指して取り組んでいます。これに応じ、宮津市は観光地である「日本三景天橋立」を抱え、訪れる人々や地域住民の交通を確保するために新たな試みを導入することになりました。
2. 宮津市の課題と自動運転の利点
宮津市では、地域の高齢化が進む中、特に「ラストワンマイル」と呼ばれる地域内の移動手段の不足が顕著です。さらに、住民主体の公共交通の維持が困難な状況が予想されており、自動運転技術はその解決策として注目されています。この取り組みにより、NTT西日本の経験と技術を活用しながら、市民の交通の利便性向上を実現することが狙いです。
3. 実証事業の詳細
「自動運転社会実装に向けた調査・実証事業」では、宮津市府中地区において自動運転技術の適用可能性を調査します。2024年8月から2025年1月にかけて、地域調査を実施し、その結果を基に来年度に自動運転の実証運行を計画しています。このプロジェクトは20,000千円の予算を持ち、NTT西日本が調査事業を統括し、宮津市が地域全体の調整を図ります。
新型のEVバス「NAVYAEVO」を使用し、レベル4の自動運転技術を搭載する予定で、乗車定員は15人。速度制限は時速25kmと設定されていますが、宮津市内での運行は当面実施されません。
4. コラボレーションの役割
このプロジェクトにおいて、各団体はそれぞれの役割を担い、宮津市の活性化に向けた取り組みを進めていきます。市は自動運転調査事業全体の運営を行い、NTT西日本は調査事業の統括を担当します。また、NTTビジネスソリューションズは、自動運転導入のエンジニアリングや走行ルート調査を行います。
5. 今後の展望
この調査結果をもとに、2025年度には具体的な実証運行を計画し、経営面や技術面、さらには地域の受容性についても検討を行います。自動運転技術の導入によって地域公共交通ネットワークがどのように変化しうるか、その可能性を慎重に探索することが重要です。
このように、宮津市とパートナー企業が手を組むことで、地域の未来を見据えた交通システムの実現に向けた一歩が踏み出されました。自動運転技術が切り開く新しい交通の形に期待が寄せられています。