上原賞とは
上原賞は公益財団法人上原記念生命科学財団が主催し、生命科学分野における優れた研究を表彰する制度です。2024年度の受賞者が発表され、今年は神取秀樹氏と柚﨑通介氏の2名が受賞しました。
受賞者の研究業績
神取秀樹氏
名古屋工業大学院工学研究科の特別教授である神取氏は、「光遺伝学的視覚再生の基盤ツールとなるロドプシンの開発研究」により受賞しました。この研究は、動物の脳内部に光応答性のタンパク質を発現させることによって、その行動を光で制御可能にする先進的な技術を探求しています。2005年に始まった光遺伝学が、どのようにして脳研究に革新をもたらしたかを明らかにし、さらに新たなロドプシン機能の発見や、失明患者への視覚再生ツールの開発へとつなげる成果が期待されます。
柚﨑通介氏
慶應義塾大学医学部の教授である柚﨑氏は、「新しいシナプス接着機構の解明と神経機能操作法の開発」により受賞しました。彼の研究は、神経回路におけるシナプスを介した情報伝達を支える分子機構の解明に焦点を当てており、精神疾患などに関する理解を深め、新たな治療法の開発に寄与することが期待されています。この研究成果を基に、光遺伝学を駆使した新たなツールの開発にも取り組んでいます。
助成金の詳細
2024年度の上原賞の他にも、総額約13億5,075万円という大規模な助成金が335件に渡って贈呈されます。これには特定研究助成金や海外留学助成金など多様なフォームが含まれており、若手研究者への支援も考慮されています。具体的な助成内容は次の通りです:
- - 特定研究助成金:7,000万円(20件)
- - 研究助成金(1件500万円):4億2,500万円(85件)
- - 研究推進特別奨励金(1件400万円):4,000万円(10件)
- - 研究奨励金(1件200万円):2億円(100件)
- - 海外留学助成金:3億450万円(55件)
- - 若手海外留学支援金:2億120万円(36件)
- - その他(国際シンポジウム助成金、来日研究生助成金など):合計約5,005万円
財団の使命
公益財団法人上原記念生命科学財団は1985年に設立され、今年でちょうど40年を迎えます。それ以来、生命科学に関するさまざまな研究に対する助成を行ってきました。累計で約11,800件、約384億円に相当する助成が行われ、研究者が革新を続けられる環境を整備してきています。これからも、さらなる助成活動を通じて、日本の科学研究がますます進展することを期待しています。