建設業界の受注環境調査、78％が案件を断った理由とは

日鉄物産システム建築の調査結果

日鉄物産システム建築株式会社が行った調査によると、日本の建設業界は現在、様々な挑戦に直面しています。調査対象は、全国に広がるゼネコンや設計事務所など約999社で、結果として明らかになった現状は注目に値します。

新規案件の動向

39％の企業が新規案件の引き合いが増えていると報告しています。この背景には、物流施設やデータセンターの建設需要の増加があり、特にAIの普及がこれを後押ししています。しかし、全体の中には「変化なし」と答える企業も35％おり、「減っている」と答えた企業も26％います。これは、受注環境が二極化していることを示しており、一部の企業は施工体制の整備が困難で受注機会を逸している実態があります。

改修工事需要

改修工事の需要も拡大しており、50％の企業が増加傾向にあると回答しています。これは、老朽化したインフラの更新や自動化設備の導入などが背景にあり、特に高度経済成長期に整備された施設が対象です。新築だけではなく、改修工事へのシフトが企業競争力の鍵となるでしょう。

案件を断った企業の理由

78％の企業が人手不足やコスト制約により、案件を断った経験があると回答しています。工場や倉庫の分野で需要があるにもかかわらず、施工体制が整っていないために受注を逃す事例が増えています。特に工場改修では「操業を止めずに行う工事」が求められ、対応が難しい企業も多いと言われています。実際には多くの案件が存在しているにも関わらず、人材とリソースのマッチングが出来ていない現状があります。

不足している人材

調査によれば、「現場管理者」が最も不足している職種であり、77％の企業がその不足を感じています。また、「現場作業員」と「協力会社」もそれぞれ57％、42％が人材不足だと回答しました。特に、工場や倉庫など、利用中の施設での改修工事は高い専門知識とマネジメント力が要求されるため、この人材不足は深刻な問題です。加えて、業界全体の高齢化や若手人材の流出が、技術継承の難しさを引き起こしています。

日鉄物産システム建築の取締役営業管理センター長、鶴田貴也氏は「現在、建設業界では新築の需要とともに改修需要も確実に増加している」とし、企業がそのニーズに応えることがいかに重要であるかを強調しています。特に、施工体制の制約が企業の成長をどう阻むかが焦点であり、これに対する解決策として、当社の「システム建築」が提案されています。設計・施工プロセスの標準化により短工期と品質安定を実現し、限られた人材でも対応可能になることが期待されています。