最近、株式会社東洋経済新報社が発表した「CSR企業ランキング2025年版(第19回)」で、富士通が初めて総合ランキングの1位を獲得しました。このランキングは、企業の社会的責任(CSR)と財務データの両面から企業の信頼性を評価するものです。富士通は、全体の評価で前回より順位を上げたことが特筆されており、特に環境や企業統治の分野で高評価を得ています。
富士通は、全社的に推進しているソリューション「Fujitsu Uvance」を通じて、顧客のビジネス成長と社会課題への対応に積極的に取り組んでいます。また、同社はサステナビリティのための専任役員としてチーフ・サステナビリティ&サプライチェーン・オフィサー(CSSO)を任命し、サプライチェーン全体で環境対策を強化しています。具体的には、取引先企業に対しCO2削減目標を設定するよう要請し、サポートセッションやセミナーも開催しています。
環境問題への取り組みとして、ブロックチェーン技術を活用した温室効果ガス(GHG)のトレーサビリティ確保を目指すサービスも展開中です。従業員の働きやすい環境作りにも力を入れており、テレワークを基本にしたフレックスタイム制度を導入。その結果、約75%の従業員がテレワークを利用しているとのこと。さらに、プライベートの時間を確保しつつ仕事ができる「ワーケーション」制度を設け、業務と生活の両立を推奨しています。
ランキングの2位は、2年連続となるJT(日本たばこ産業)が獲得しました。同社も人材活用や企業統治の面で高評価を得ており、特に海外での葉タバコ生産者への支援活動に注力しています。この取り組みは、農家の生活向上に寄与しており、広範囲なサプライチェーンにおける責任ある調達を実践しています。2023年度には、65,315世帯の農家を支援し、地域貢献にも力を入れています。
さらに、JTではNPOと連携して途上国の給食支援活動なども行っており、実際に前年には6,009名の社員が参加しました。加えて、73億円以上の社会貢献活動支出も国内トップクラスです。
3位には、デンソーが選ばれました。第9回(2015年版)以来のトップ3入りで、環境面での取り組みが評価されています。企業統治や社会性でも一定の評価を得ており、地域社会の防災やボランティア活動にも積極的です。従業員の社会貢献意識を高める活動も多く、昨年度にはボランティア活動に参加した人数が49,720人にのぼります。
今回のランキング調査では、男性育児休業取得率が63.9%と大きく向上したことも特筆されます。また、GHGの排出量も減少傾向にあり、企業の環境対応と人材活用の進捗状況が浮かび上がりました。この調査は、2024年6~10月に実施されたもので、総計1715社が対象となった結果です。
CSR企業においては、人材活用、環境、企業統治+社会性の各評価項目があり、それぞれが持つ重要性が増しています。企業がCSRを推進することで、社会全体における信頼性やブランド価値の向上にもつながることが期待されます。成長と社会的な貢献が一体化した企業活動が、今後ますます求められることでしょう。今後もCSRの重要性は高まっていくと考えられます。