AI基盤の新たな可能性
2026-03-30 17:04:43

新時代のAI開発基盤を担うIOWN APNの実証結果とは

IOWN APNを活用した東京-福岡間のAIインフラ技術実証の成果



近年、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の普及が進む中、AI開発基盤の需要が急増しています。そこで、GMOインターネット株式会社やNTTグループ、QTnetの3社が、東京と福岡を結ぶIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)APN(All-Photonics Network)技術を利用した遠隔分散型のAIインフラ構築に向けた実証実験を行いました。

実証実験の概要



この技術実証は、2025年11月から2026年2月にかけて、東京のストレージと福岡のGPUサーバーをIOWN APNで接続し、AIワークロード性能を測定するものでした。

実際のデータセンター間でGPUと大容量ストレージを接続した結果、AI開発基盤のパフォーマンスが非常に高いことが確認されました。特に、大規模言語モデルでの学習においては、ローカル環境との比較で約0.5%の性能低下に留まり、その影響は極めて小さいことが分かりました。

また、画像分類タスクでも、データ最適化を行うことで遠隔地からのデータ処理が実用レベルで可能であることが確認され、地理的制約を超えたAI開発が現実のものとして進められることを示しました。

背景と目的



従来AI学習には、GPUとストレージが物理的に近接していることが必要とされていました。しかし、データセンターのスペースやデータ管理のニーズに応えるためには、遠隔地間の分散型AI開発基盤が求められています。これに対応するため、IOWN APNの活用が期待されていました。

さらに、2025年7月に実施されたいわゆる「事前実証」では、疑似的な遅延条件下での性能テストが行われ、商用利用可能な範囲にあることが確認され、本実証への移行が決定されました。

実証結果と意味するもの



本実証の結果、IOWN APNを経由した遠隔環境でも、ローカル環境と同様のAI学習パフォーマンスが維持されることが分かりました。具体的には、
  • - 大規模言語モデル(Llama2 70B)の学習タスク
- ローカル環境:24.87分
- 遠隔環境:24.99分

この結果は、遅延の影響が非常に小さいことを示しています。

  • - 画像分類(ResNet)タスク
- ローカル環境:13.72分
- 遠隔環境:14.38分

データの読み込み処理を伴うタスクでも、適切なデータ整形を行うことで実用レベルの処理が可能であることが確認されています。

もたらされる変革



本実証の成果は、地理的に離れた場所にある計算資源とデータの活用を促進し、クラウドとオンプレミスのハイブリッド運用を推進する新たな道筋を示しました。このモデルにより、データを自社内に保持しつつ、必要な計算リソースを外部から活用できる選択肢が提供されます。これにより、金融・医療・防衛・行政など、強いデータセキュリティが求められる分野でのリスク低減が期待されます。

また、地方分散配置によるBCP(事業継続計画)対応が可能になり、災害や障害時にもAI処理の継続性が保証されます。これにより、AIを支える社会インフラとしてIOWN APNの重要性が増すことでしょう。

今後、GMOインターネットを中心とする各社は、この技術実証の成功をもとに、更なる実用化へ向けた取り組みを進めていく予定です。しかし、技術の実用化には、それぞれのユースケースごとの調査や条件設定が必要であることも併せて認識しておく必要があります。よって、今後の進展に注目が集まります。



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NTT東日本株式会社
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東京都新宿区西新宿3-19-2
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