ゼンリンミュージアムに初の重要文化財
福岡県北九州市にあるゼンリンミュージアムは、2025年に重要文化財に指定されることが発表された「伊能忠敬測量図(実測輿地図)」を所蔵しています。この指定は、文化庁の文化審議会で決定され、当館にとって初めての重要文化財の承認となりました。
実測輿地図について
伊能忠敬測量図は、2020年6月に当館に寄贈されたもので、蝦夷地、東日本、西日本の3鋪に分かれて保存されています。この実測輿地図は、日本地図学会により、伊能忠敬が製作した「大日本沿海輿地全図」の副本であると特定されました。この副本は、幕府に提出された正本に基づいて製作されたものであり、地図製作の過程でできた針孔や白径の痕跡が見受けられます。
展示予定
この貴重な実測輿地図のうち、東日本の1鋪が2025年4月19日から5月11日まで、京都府京都文化博物館で開催される「新指定国宝・重要文化財展」で一般公開される予定です。一方で、ゼンリンミュージアムでは、実測輿地図の複製を常設展示第2章に位置づけて展示していますが、原本は保全の観点から展示されないことに注意が必要です。
館長・佐藤渉のコメント
今回の重要文化財指定を受け、ゼンリンミュージアムの館長である佐藤渉さんは以下のようにコメントしています。「伊能小図が寄贈された後、日本地図学会や徳島大学の専門家による調査を経て、伊能忠敬の測量隊が製作した大日本沿海輿地全図の副本であると認められました。この度の重要文化財指定は、我々にとって大きな意義を持つと同時に、後世に伝える責任を感じています。今後もより多くの方にこの地図の魅力を理解していただけるよう、展示方法を工夫していくつもりです。」
ゼンリンミュージアムの紹介
ゼンリンミュージアムは、地図会社ゼンリンが手がける展示施設で、2020年6月に「地図文化の継承と振興」を掲げて開館しました。常設展では、16世紀から19世紀にかけて描かれた地図を紹介し、特に日本地図を中心に約120点の地図や資料を展示しています。
訪問者は、さまざまな地図が持つ歴史的背景や製作意図を学ぶことで、新たな地図の魅力を発見できることでしょう。また、2024年12月にはリバーウォーク北九州にあるオフィス棟14Fに加え、利便性の高い商業棟の4Fにシアターを新設予定です。このシアターでは、常設展示の理解を深めるためのコンセプトムービー「HARUKA 歴史を映し出す地図」を視聴できるようになります。
開館情報
- - 開館時間: 10:00~17:00
- - 休館日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始など臨時休館あり
- - 入館料: 一般1,000円(団体8名以上800円)
今後もさらに多くの人が訪れ、地図の魅力を体験できる場所としての役割を果たしていくことが期待されます。興味のある方はぜひゼンリンミュージアムを訪れてみてください。