概要
自動車技術は日々進化を遂げていますが、その中でも特に重要な役割を果たすのが緊急通報システムです。アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、音響評価のリーディングカンパニーであるHEAD Acoustics社と共同で、自動車向け次世代緊急通報システム「NG eCall」に対応した音響評価ソリューションの提供を開始しました。このソリューションは、事故発生時に迅速な救助を可能にするための鍵を握っています。
NG eCallとは何か?
NG eCallは、国際標準であるITU-T勧告P.1140に準拠したシステムであり、緊急通報センター(PSAP)との音声通話の品質を評価することに特化しています。特に、自動車事故が発生した際に、車両内の搭乗者がどれだけ正確に状況を伝えられるかが至極重要です。雑音やエコーといった音響的な課題は、通話の聞き取りやすさを妨げる要因となり、その結果、救助活動に影響を与える可能性があります。
自動車事故時の音響的課題
事故後の環境は非常に厳しいものです。例えば、ハンズフリー通話を使用する場合、周囲の道路音や風音、エンジン音が混在します。これによって、通信が難しくなることが考えられます。特に、双方が同時に話す「ダブルトーク」条件下では、片方の音声が途切れることが多く、通話の成り立ちが非常に難しくなるのです。
提供される音響評価ソリューション
アンリツが提供するソリューションは、MD8475B(4G LTE基地局シミュレータ)およびMT8000A(4G LTE/5G NR基地局シミュレータ)と、HEAD Acoustics社の「ACQUA」音声品質分析プラットフォームから成ります。これにより、車両から送信される音声と緊急通報センターからの音声を、実環境に近い条件で評価することが可能になります。
試験条件の具体例
- - エコー評価: スピーカーから出た音声がマイクに再入力される際のエコーを分析します。
- - ダブルトーク条件テスト: 両者が同時に話す状況を想定し、音声の途切れ方を評価します。
- - 背景雑音シミュレーション: 道路、風、エンジン音など、実際の環境をシミュレートした背景雑音下での評価も実施します。
まとめ
アンリツは、これらの音響評価ソリューションを通じて、自動車メーカーやサプライヤーに対し、NG eCallおよび音響機器の開発を支援しています。これにより、安全で安心なモビリティ社会の実現に貢献することを目指しています。
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