米国の投資ファンドCitadelが、日本の電力卸売業者Energy Grid Corporation Limited(以下、Energy Grid)を買収することで合意したことを発表しました。この買収は、Citadelの金融力、技術力、分析力を活用することで、Energy Gridの更なる成長を促進し、日本の企業が電力価格のリスク管理をより効果的に行うことを支援することを目的としています。また、近年では初めての、米国の企業による日本の電力卸売市場への大規模投資となります。
2021年に設立されたEnergy Gridは、実物電力市場において、顧客に合わせたリスク管理ソリューションを提供しています。近年、日本の電力市場の成長が加速する中、Energy Gridは、電力価格の変動リスクを軽減する専門知識を提供することで、日本の企業を支援してきました。その結果、Energy Gridは過去3年間で急速に成長を遂げ、現在では80社以上の取引先と取引を行っています。
Citadelは、1990年に設立され、世界で最もインパクトのある投資に資金を投じ、世界有数の公的機関や民間機関に対して長期的に優れたリターンを生み出すことを目指しています。現在、Citadelは2,500人を超える専門家チームを擁し、630億ドル(約9.6兆円)の投資資金を運用しており、年金基金、大学基金、病院、財団、研究機関など、社会に貢献する機関に対して卓越した成果を収めています。今回の買収は、Citadelのコモディティ部門が主導しており、同部門は世界最大規模で、コモディティ市場で最も優れた投資家の1つとして知られています。Energy Gridと同様に、Citadelのコモディティ部門は、天然ガス、電力、環境商品、天候など、様々な市場において、エネルギー生産者と消費者が商品リスクを管理することを支援することに重点を置いています。コモディティ部門には、世界9つのオフィスに180人以上の投資専門家が在籍しています。
Citadelのコモディティ部門の責任者であるセバスチャン・バラック氏は、「Energy Gridは、日本の電力業界において、信頼できるパートナーとしての地位を確立してきました。私たちは、Citadelの顧客主導型取引とリスク管理の経験を、Energy Gridの地元での専門知識と統合することで、このパートナーシップを強化していきます。日本のエネルギー生産者と消費者に、ヘッジソリューションを提供できる範囲を拡大していくことを楽しみにしています」と述べています。
Energy Gridの代表取締役社長である城崎陽平氏は、「Citadelとの今回の戦略的取引は、Energy Gridにとって、これまでの成功を基盤に、日本の電力市場を安定させ、効率化するためのビジョンを実現する重要な転換点となります。今後、Citadelの財務力と運用能力を活用して、取引量を拡大し、より多くの市場参加者に長期的なリスク管理の機会を提供することで、日本の電力市場の発展に貢献していきます」と述べています。
取引条件は非公開となっています。取引は、完了条件が満たされれば、2024年第3四半期に完了する予定です。完了後、Energy Gridの従業員はCitadelに加入します。
ゴールドマン・サックス証券がCitadelの財務アドバイザー、リンクレーターズがCitadelの法律顧問を務め、三菱UFJモルガン・スタンレー証券がEnergy Gridの財務アドバイザー、西村あさひ法律事務所がEnergy Gridの法律顧問を務めました。