長野県松本市で、株式会社ヤマサと株式会社アスピアが共同で次世代のバイオ燃料「リニューアブルディーゼル」の実証実験を2024年3月より開始しました。これは、環境に配慮した新しいビジネスモデルを模索する取り組みであり、二社が連携して行う重要なプロジェクトです。
実証実験では、アスピア社の構内で使用されるコマツのフォークリフトを対象に、リニューアブルディーゼルの性能や二酸化炭素(CO2)排出量の検証を行います。使用される燃料は、世界最大のリニューアブル燃料メーカーであるフィンランドのNeste OYJ社から供給されたものです。これにより、持続可能性を重視した事業運営を目指します。
実証実験の期間は2024年3月26日から約1年間。具体的な活動内容には、リニューアブルディーゼルを長期間にわたって使用した際の機械的な性能への影響や、CO2排出量の低減効果の測定が含まれています。また、実証実験には240リットルのリニューアブルディーゼルが使用される計画です。
アスピア社は、2021年から長野県のSDGs推進企業登録制度に登録しており、産業廃棄物の削減やペーパーレス化などの持続可能な取り組みを進めています。一方のヤマサは、2023年からリニューアブルディーゼルの販売をスタートし、環境への配慮を強化しています。この二社の連携は、地域社会における環境意識の向上に寄与すると期待されます。
リニューアブルディーゼルは、10種類以上の廃食油や非可食油を原料にしており、独自の精製技術により製造されています。温室効果ガス排出量については、非化石燃料や廃棄油由来であるため、環境規制においてはCO2排出量はゼロとされています。また、黒煙がほとんど出ず、排気臭もないため、作業環境の改善にも寄与します。既存のインフラや内燃機関をそのまま利用できるドロップイン燃料であり、初期投資も不要なのが大きな特徴です。
この実験結果は、2024年8月現在、約5ヶ月にわたって継続中で、リニューアブルディーゼルの使用量は約100リットル、CO2削減量は262キログラムに達しています。年間では約629キログラム相当のCO2削減が期待され、この削減量は杉の木44本による吸収量に相当します。また、フォークリフトの性能にも異常は見られません。
両社は、環境に優しい取り組みをさらに推進し、カーボンニュートラルな世界の実現に向けて努力を続ける意向を示しています。今回の実証実験は、地方企業による新しい挑戦でもあり、他地域における同様の取り組みのモデルケースとしても注目されています。信州松本の地域資源を活用しながら、持続可能な社会の構築に向けた動きが、今後も広がっていくことが期待されます。