100年先を見据えた医院運営の秘訣
愛媛県松山市に位置する大谷歯科矯正歯科は、50年以上の歴史を誇り、今後も選ばれる医院を目指しています。そのためには、組織の拡大とともに発生する人事に関する課題を克服し、職員のモチベーションを向上させる必要があります。2025年に開催された「DoctorHR」に関連する医療機関経営者向けセミナーでは、理事長の大谷淳二氏が、医療現場における評価制度の重要性を熱弁しました。
組織拡大の壁
大谷歯科矯正歯科は、事業承継を経て新たな成長の段階に突入しましたが、スタッフ数が増えることによる評価の公平性が問題となっていました。従来の方法では、理事長一人が全スタッフの評価を行うのは難しくなり、その結果、個々の努力が不当に評価される結果に繋がっていました。こうした状況は、スタッフ間の信頼感や組織全体の士気を低下させる要因となっていました。
解決の糸口
大谷理事長は、従来の主観的な評価方法から脱却し、より客観的な評価基準を導入することを決意しました。そこで導入されたのが人事評価制度「DoctorHR」です。この制度により、医院が重視している価値観やスキルを数値化し、スタッフの成長を具体的に示すことができます。この「見える化」によって、ただの印象ではなく、実際の貢献度が評価される仕組みが整いました。
参加者からの反響
セミナーでは、この新しい評価制度の導入がどのようにして組織の一体感を実現し、スタッフ一人ひとりの成長に繋がるのかが具体的に紹介されました。参加者からは、成功事例だけでなく失敗談も交えて語る姿勢に共感が寄せられ、「リアルな実践事例が非常に参考になった」とのフィードバックが多数寄せられました。特に、評価が低くてもそれが「人格の評価ではない」とスタッフに対して説明することで安心感を与えるという配慮が、組織全体の信頼関係を築く要因として高く評価されました。
100年続く医院を目指して
「医院の成長には喜びと苦しみが共存していますが、スタッフが増えるとどうしても評価の難しさに直面します。そのため、誰もがその成長を実感できる環境を作ることが私の目標です」と大谷理事長は語る。彼のリーダーシップのもと、評価制度は単なる数字ではなく、スタッフのやりがいや充実感を生むための重要な要素となっているとのこと。
理事長のプロフィール
大谷 淳二氏は、2001年に愛知学院大学歯学部を卒業後、2005年に広島大学大学院で歯学博士を取得しました。2007年からは広島大学大学院の助教として教育に携わり、2009年からはカリフォルニア大学サンフランシスコ校の客員教授を歴任。2013年からは大谷歯科矯正歯科の理事長を務めています。理事長としての業務に加え、教育機関での講師活動や、国際的な学会への参加も行うなど、幅広い活動を展開しています。
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このように、大谷歯科矯正歯科におけるスタッフ育成の秘訣は、評価制度の導入による客観性の確保と、それに伴うコミュニケーションの向上にあります。医療現場においても、スタッフ一人ひとりの成長を大切にしながら、医院全体を成長させる取り組みが求められているのです。