Impella心臓ポンプの成果
2020-07-31 08:50:51

日本の大規模研究でImpella心臓ポンプが生存率向上を実証

Impella心臓ポンプの驚異的な効果



最近、国内の医療界で注目を集めているのが、Impella心臓ポンプによる心不全治療の新しい可能性です。日本循環器学会を中心に、10の学会が協力した大規模な臨床研究の中間解析が実施され、その結果が発表されました。

一般的に、心原性ショックを発症した患者の生存率はおよそ50%とされています。しかし、この研究の中間解析では、Impellaを使用した患者の生存率がそれを上回ることが示されました。研究は、大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授を研究代表者とし、819名の患者を対象に行われました。

中間解析の結果



中間解析によると、心原性ショックや劇症型心筋炎などの患者にImpellaを使用した結果、30日後の生存率は劇症型心筋炎の患者で88%という高い数値に達しました。これは、日本の医療における心不全治療の新しい道筋を示す重要なデータです。

澤教授は、「データは薬剤治療に抵抗を示す急性心不全患者に対し、Impellaを早期に使用することが、心原性ショックを含む重篤な状態の患者に対し生存率を向上させることを示しています」と語っています。この言葉には、Impellaを利用した新たな治療法の重要性が込められています。

過去の研究との比較



心原性ショックの生存率に関する過去の研究によると、体外式膜人工肺による心肺補助治療を受けた患者の30日後の生存率は32%にとどまっていました。この新研究が示すImpellaの生存率向上は、治療法の選択肢に新たな光を当てています。

ベストプラクティスの導入



Impellaによる治療では、心原性ショックの早期発見、留置のタイミング、強心剤の使用量の低減など、確立されたベストプラクティスに従った治療が成功のカギとなりました。これにより、研究の成果は他の国際的な研究とも一致しており、Impellaを使った治療法が医療従事者の間で標準化されつつあることが触れられています。

ウィリアム・オニール医師も、「Impellaの適切な使用が生存率の改善に寄与することをこの研究は示している」とコメントしており、世界中の医師たちにもこのデータを基にした治療法の実践を勧めています。

Impellaの重要性



Impella心臓ポンプは、患者の心機能の回復を助け、心臓移植を待つ患者にも重要な役割を果たす可能性があります。日本において心臓移植の数は限られているため、Impellaの使用は特に重要な治療法となります。

医療分野への影響



この研究は、去る第84回日本循環器学会学術集会で発表され、多くの医療専門家に影響を与えています。Impellaはアビオメッド社によって製造され、これまでに14年以上の臨床研究が行われています。その成果が日本での心不全治療に革命をもたらす可能性があると期待されています。

今後、続く研究成果や臨床現場での導入が進むことで、Impellaによる治療法がますます広がることが予想されます。心原性ショックをはじめとする心疾患の治療に新たな道を開くこの革新的なポンプが、今後の医療にどのような影響を与えるのか注目が集まります。

会社情報

会社名
日本アビオメッド株式会社
住所
東京都中央区日本橋室町2-2-1室町東三井ビルディング12階
電話番号
03-4540-5600

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。