兼松とGridBeyondの提携がもたらす「デマンドレスポンス」の未来
兼松株式会社(以下、兼松)は、アイルランドのエネルギーITソリューションプロバイダーであるGridBeyond合同会社(以下、GridBeyond)との間で、電力需要調整策である「デマンドレスポンス」の促進を目的に業務提携に関する覚書を締結しました。この業務提携は、2024年11月を予定しています。
デマンドレスポンスとは?
「デマンドレスポンス」は、電力需給が厳しい状況において、電力需要者が電力の使用制御を行い、需給バランスを整える取り組みのことです。このシステムには、省エネルギーの促進にもつながることから、近年特に注目を集めています。日本では、2023年4月に改正された省エネ法により、一定以上の電力を使用する事業者は「デマンドレスポンス」実施日の報告を義務付けられるようになりました。
再生可能エネルギーは発電量が天候などで変動するため、需給の調整が難しいとされています。したがって、これを解決するためには、デマンドレスポンスの導入が不可欠とされています。新たに設立された電力市場では、事業者は電力削減に対する対価を得ることができるため、このシステムの導入により経済的なメリットも享受可能となります。
GridBeyondの技術力
GridBeyondは、過去10年以上にわたりアイルランド、イギリス、アメリカ、オーストラリアにおいて900ヶ所以上で2.6ギガワットの電力負荷を管理した実績があります。自身のAIやロボティクス技術を駆使し、電力トレーディングを効率的に行う契約・アグリゲーションを実施しています。これにより、顧客に最適な取引戦略を提案し、ワンストップで一連の流れを自動で行うことができる強みを持っています。
兼松の取り組み
兼松は2024年4月から始まる中期経営計画「integration 1.0」において、効率的で持続可能なサプライチェーンの変革を図るソリューションプロバイダーとしての姿勢を打ち出しています。GridBeyondとの提携により、兼松は自社が提供可能な資源としてデマンドレスポンスを追加し、2万社を超える多種多様な取引先への普及を目指します。このことにより、顧客のGX(グリーントランスフォーメーション)に寄与し、持続可能な社会の実現を目指していく考えです。
結論
この業務提携は、アクセシブルなエネルギー市場の創出に寄与し、電力需給を平準化させる大きな一歩となります。両社の協力によって、デマンドレスポンスの普及が進むことで、より持続可能なエネルギー資源の利用が促進されることでしょう。今後の進展から目が離せません。