朝日新聞社、ミドルシニア向けの新施策を発表
株式会社朝日新聞社は、50歳以上の社員を対象とした新たなキャリア支援サービス「レンタル移籍」を2025年9月から導入することが決定しました。これにより、同社は人的資本経営を推進し、社員が自律的にキャリアを形成できるためのサポートを強化していきます。
レンタル移籍の概要
「レンタル移籍」とは、社員が所属する組織に留まりながら、一定期間ベンチャー企業に異動し、そこで経験を積むことができる仕組みです。朝日新聞社はすでに若手社員や中堅社員に対してこの制度を実施していましたが、ミドルシニア層への導入は初めての試みとなります。この施策の背景には、労働市場の高齢化が進んでいることや、ミドルシニア層のキャリア自律が重要な経営課題として浮上していることがあります。
導入の背景
近年、多くの企業がミドルシニア層のキャリア支援を課題として捉えています。調査によると、労働人口の高齢化が進み、特に45歳以上の正規雇用比率が増加しています。経験豊富なミドルシニア層が「キャリアのピークを迎えている」「役職定年に差し掛かっている」といった悩みを抱えていることもあり、企業にとってこの層の再活性化は喫緊のテーマとなっています。
朝日新聞社では2017年から65歳定年制を導入し、現在では約3,700名のうち半数以上が50代以上という構成になっています。これを受けて、同社は中期経営計画2026の中で「人的資本経営の推進」を掲げています。この中で、社員の挑戦をサポートするために「キャリア自律支援」と「セカンドキャリア支援」という2つの施策を強化することを決意しました。
新しい人材育成モデルの目指すところ
ミドルシニア層の豊富な経験と知見を社外で再定義し、企業と個人両方の成長を目指す新たな人材育成モデルとして位置づけられる「レンタル移籍」。これにより、社員が異なる視点や新たなスキルを持ち帰ることで、社内に新たな風を吹き込むことが期待されています。人事・給与・年金改革担当者の田中麻本呂氏は、「社員一人ひとりが自分の行きたい方向に進める機会を提供することが重要だ」と述べています。これまでの支援策とは異なり、今後は社員が自律的にキャリアを形成できるよう風を吹かせる役割を果たしていくとのことです。
具体的な移籍者とその役割
「レンタル移籍」に参加する社員には、次のようなメンバーがいます:
- - 岩崎賢一さん: 特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールで、運営や支援を担当。
- - 上田雅文さん: 株式会社Godotで行動科学とAIの融合に取り組み。
- - 関根和弘さん: 株式会社HA-LUでドラマ制作に従事。
- - 長原匡史さん: 株式会社ミライ工事にてマーケティングに取り組む予定です。
このように、多様な分野で新しい経験を積むことが期待されており、戻った際の職場での影響が楽しみです。
今後の展望
株式会社ローンディールは、越境による学び合いを加速させることを目指しています。同社のミッションには、越境人材の活用と組織変革を両立させ、新たな価値の創出が掲げられています。こうした取り組みを通じて、社会全体への影響も広がることが期待されます。
朝日新聞社が導入する「レンタル移籍」を通じて、中高年層に新しいキャリア形成の機会が提供されることで、企業と個人の成長が促進されることを期待してやみません。