THK株式会社が発表した次世代マルチ吸着ハンド
2023年、東京都港区に本社を置くTHK株式会社が最新の技術を搭載した「次世代マルチ吸着ハンド(TNH08-V09)」の受注を開始しました。この新しいロボットハンドは、自動車部品業界における変種変量生産の課題に革新をもたらすことを目指しています。
次世代マルチ吸着ハンドの特長
「次世代マルチ吸着ハンド」は、特に複雑な形状のワークにフィットし、安定した吸着を可能にしています。ハンド本体はモジュール化されており、9本の中空シャフトが吸着パッドとともに配置されているため、様々な形状の部品を持ち上げることができます。このハンドは最大で7kgの可搬質量を持ち、自動車部品、特にバンパーやランプ類の搬送を効率的に行うことができます。
課題解決へのアプローチ
近年、自動車業界では次世代型車両の普及が進む中、自動車部品の生産プロセスにおいて多様なニーズが求められています。特に、複雑な形状の部品を効率的に生産ラインへ流すためには、ロボットハンドの段取り替え時のサイクルタイムを短縮する必要があります。「次世代マルチ吸着ハンド」は、THK独自のクイッククランパーエレメント技術を活用して、さまざまな形状のワークにフィットすることでこの課題を解決します。
効率化と生産性向上
この新型ハンドは、シャフトが固定されることでワークの姿勢を安定させるだけでなく、9本のシャフトが異なる形状に適応できるため、ハンド交換の必要がありません。これにより、段取り時間を大幅に削減することができ、結果として生産性の向上に寄与します。さらに、ハンドにはセンサーが搭載されており、ワークの検知や吸着状態の監視も実現しています。
THKのこれからの展望
THKは創設以来、創造開発型企業として多様な製品を開発してきました。1972年には業界初の「LMガイド」を製品化し、メカトロニクス機器の性能を向上させるなどの実績があります。今後もTHKは独自の新製品開発を通じて、自動化や省力化のニーズに応えるべく、革新を続けていく方針です。特に自動車部品の生産工程においては、生産性を高め、工程改善に貢献するためのソリューションを提案していくでしょう。
まとめ
THK株式会社の新型「次世代マルチ吸着ハンド」は、自動車部品業界において効率的な生産を実現するための重要なツールとなることが期待されます。複雑な形状を持つ部品の生産スピード向上に貢献し、今後の市場において大きな注目を集めるであろうこの製品から目が離せません。