NTTが実現した配水ポンプ場の自動巡回
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、画期的な技術を駆使し、横浜市にある配水ポンプ場の自動巡回システムを実証しました。この新しい取り組みは、業界初の試みとして注目を集めています。
背景と課題
横浜市水道局では、市内にある23箇所の配水ポンプ場を毎月点検しており、24時間年中無休で安全な水供給を行っています。しかし、これまでの巡視点検は職員が手作業で行っており、現地までの移動時間や人材不足が大きな課題でした。また、ベテラン職員が退職する中、今後の巡視体制の構築も急務でした。
そこで、NTTは自律飛行が可能なドローンの導入を考え、これを利用して巡回点検を実施することにしました。ドローンを使えば、巡視点検の効率化と設備状況のデータ管理が手軽に行えると期待されています。
実証実験の成功
今回の実証実験は、横浜市保土ヶ谷区にある仏向ポンプ場で行われました。ここでは、屋内用ドローンポート「Skydio Dock」と、衛星インターネットサービス「Starlink Business」を用いることで、ドローンが自動で巡回飛行を行うシステムを検証しました。
実験では、ドローンの飛行の正確性や安定性、撮影した映像の質、電波品質を詳しく調査。結果、パフォーマンスや効率が格段に向上したことが確認されました。スムーズな通信を実現するために、Starlink Businessによる高速インターネット接続と、無線の中継機能を使用することで、全域での安定した通信が確保されました。
ドローンによる画像管理
ドローンは自動飛行ルートに従い、特定の位置での画像を繰り返し撮影することができるため、撮影した映像は「Skydio Cloud」を介してリアルタイムに現地で確認が可能になります。これは従来の目視確認に匹敵する精度で、遠隔操作での点検が実現したことを意味します。
今後の展望
NTT Comは今回の実証結果を受けて、横浜市が保有する他の配水ポンプ場として23箇所へのドローンポートの導入支援を進める方針です。また、過去に撮影したデータはAIを利用して解析し、さらなる効率化と判断基準の統一を図る考えです。
このプロジェクトは、NTTグループの宇宙ビジネスブランド「NTT C89」の一環でもあり、社会課題の解決に向けた新たなビジョンを掲げています。今後もこの分野での技術革新が期待される中、NTTの挑戦は新たな局面を迎えています。
まとめ
NTTの配水ポンプ場の自動巡回システムは、技術の融合によって実現された画期的な試みです。ドローン技術と衛星通信を組み合わせることで、効率的かつ安全な水供給の施策が進んでいくことが期待されています。