日本企業ispaceが月面資源探査に向けた新プロジェクトを始動
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史)は、国立研究開発法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施している宇宙戦略基金の第1次公募のテーマにおいて、新たな研究開発課題が選ばれたことを発表しました。このプロジェクトは「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」をテーマとしており、東京科学大学が中心となり、他の連携機関や企業と協力して行います。
プロジェクトの具体的な内容としては、テラヘルツ波リモートセンシング衛星を使用して月の地下浅部の資源を探査するというものです。これは月面の輝度温度分布を観測し、水や氷の含有量を推定するためのデータを集めることを目的としています。衛星は約100kgのシステムで、10kg以下のセンサを搭載し、4年間ほどの支援期間を有する計画です。
プロジェクトの目指すところ
このプロジェクトでは、開発した衛星システムを月の周回軌道に投入して観測を行い、そのデータを基に他の探査機が収集した情報と組み合わせて分析を行う予定です。この手法により、月面における水氷の有望な地点を特定し、さらには水以外の資源の探査にも繋げていく考えです。
ispaceの代表取締役CEOである袴田武史氏は、「本事業はispaceにとって初の大規模な宇宙関連の取り組みであり、日本政府が推進する新たな月の資源探査プログラムに貢献できることを嬉しく思っています」と述べています。特に、過去の月着陸船の開発経験を活かし、衛星開発・運用においても主導的な役割を果たすことが期待されています。
また、袴田氏は「宇宙での生活圏を広げることを目指し、月面開発の事業化を進めたい」と語り、シスルナ(地球と月の間)での経済圏の構築に向けての意気込みを示しました。ispaceは、宇宙戦略基金に積極的に関わり、さらなる協力や開発を進めていくことを考えています。
株式会社ispaceの概要
株式会社ispaceは、「Expand our planet. Expand our future.(人類の生活圏を宇宙に広げ、持続可能な世界を実現しよう)」を企業ビジョンに掲げ、東京、ルクセンブルク、アメリカで活動しています。2010年に設立され、Google Lunar XPRIZEレースにも参加した実績を持つ宇宙スタートアップ企業です。
月面資源開発を中心に、民間企業が宇宙ビジネスに参入するためのプラットフォームを提供しています。2022年には、SpaceXのFalcon 9を用いた初のランダーを打ち上げており、今後も月探査用のローバーや、より高頻度な月輸送サービスの提供を目指しています。2025年には異なるミッションを予定しており、NASAの「アルテミス計画」への参加も視野に入れた活動を行っています。
これらの取り組みは、月面資源探査の成功に向けた重要なステップであり、今後も注目を集めることでしょう。ispaceの進展に期待が高まります。