インフルエンザリスク分析!5タイプの特徴と対策法
例年よりも早い時期からインフルエンザが流行しており、感染者数は増加の一途をたどっています。特に、厚生労働省によると、今季の主な流行株は「A香港型(H3/N2)」であり、全国の約半数を占めているとのこと。この流行株は重症化しやすく、ワクチンの効果も得にくいとされています。
健康ビッグデータで明らかになったインフルエンザのリスク要因
今年のインフルエンザ危険群についての分析が、弘前大学、京都大学、大正製薬の共同研究チームによって行われました。この研究では、弘前大学が実施している「岩木健康増進プロジェクト健診(IHPP)」のデータが用いられ、個々の体質や生活習慣とインフルエンザの発症リスクの関連が探求されました。
IHPPについて
IHPPは弘前大学が毎年沿岸地域に住む20歳以上の約1,000人を対象に行う地域健康調査です。血液検査や生活習慣、職業など3,000項目以上の健康データを収集しており、今回はその中からAI技術を駆使してインフルエンザにかかりやすい要因165項目を抽出し、詳細に分析を行いました。
この研究の大きなポイントは、複数の要因がどれだけ相互に影響を及ぼし、インフルエンザの発症につながるかを可視化したことです。従来の研究は単独の要因の影響に留まりがちでしたが、今回の分析によって、合計100項目以上の因子がどのように関連しているかが明らかになりました。
インフルエンザにかかりやすい5つのタイプ
今回の結果からインフルエンザにかかりやすい傾向として、次の5つのタイプが見えてきました:
1. 血糖が高め
血糖値(グリコアルブミン、ペントシジン)が高いことは、免疫機能に悪影響を及ぼし、ウイルスに対する抵抗力が低下します。
2. 肺炎の既往歴
過去に肺炎を経験したことがある方の免疫力は元々弱い傾向があり、特に注意が必要です。
3. 多忙・睡眠不足
忙しさから十分な睡眠が確保できていない方は、インフルエンザだけでなく風邪など他の感染症にもかかりやすくなります。
研究によれば、睡眠不足は感染症のリスクを高めることが示唆されています。
4. 栄養不良
食事のバランスが悪く、特に野菜の摂取が不足していることがリスク要因とされています。バランスの良い食事が免疫機能を支えます。
5. アレルギー体質
アレルギー検査値が高い方は、慢性的な炎症にさらされるため、呼吸器系のバリア機能が弱まります。これがウイルス感染の引き金となります。
複合的な要因によるリスク
これまで各要因ごとのリスクは理解されていましたが、本研究はそれぞれの要因がどのように組み合わさり、感染リスクを増加させるかを示しました。例えば、「肺炎の既往があり血糖が高く、睡眠不足」といった特徴を持つ集団は、リスクが約3.6倍にも達しました。
医師による対策アドバイス
感染症に詳しい内科医の久住英二先生にお話を伺い、冬のインフルエンザ流行に備えるための具体的な予防策について解説していただきました。
タイプ別対策
1.
血糖が高め
- 血糖値を急上昇させない食事を心掛け、食物繊維の豊富な雑穀米や玄米を選びましょう。
- 軽い運動も効果的です。
2.
肺炎の既往あり
- 湿度を40〜60%に保ち、手洗いを徹底することが重要です。
- 栄養摂取も大切ですが、特にβ-カロテンを意識して摂りましょう。
3.
多忙・睡眠不足
- 質の良い睡眠を確保するため、電子機器との接触を控え、環境を整えることが推奨されます。
4.
栄養不良
- 毎食、色とりどりの野菜や良質なたんぱく質を取り入れようと心掛けましょう。
5.
アレルギーあり
- 抗酸化力のある食品を意識的に取り入れ、アレルギーに対する対策を怠らないようにしましょう。
セルフメディケーションも重要
感染が広がる中、自宅でのケアがとても重要です。症状が軽い場合は、自己判断で市販薬を使用し、体調を見ながら自宅で療養することが重要です。
特に発熱時は、体を温め、水分をしっかり摂り、様子を見ながら栄養補給を行ってください。軽い流行に対しては市販の解熱鎮痛薬なども役立ちますが、注意が必要です。
おわりに
自己管理を徹底し、周りの人たちに感染が広がらないよう注意することが、これからの冬を乗り越えるために必要なことです。一人ひとりが意識を持つことが大切です。