名城大学、次世代型アスタキサンチンの開発に成功!
名城大学と富士化学工業株式会社の共同研究グループは、健康効果の高いシス型アスタキサンチンの効率的な製造技術を開発しました。この画期的な技術は、従来のアスタキサンチンが抱えていた体内吸収性の低さや加工適性の悪さを克服し、更なる健康効果と応用範囲の拡大が期待されています。
シス型アスタキサンチンの可能性
アスタキサンチンは、エビやカニなどの赤い色素として知られるカロテノイドの一種で、強力な抗酸化作用を持つことから、食品や化粧品分野で注目されています。従来のアスタキサンチンは、トランス型と呼ばれる構造をしていますが、体内吸収性が低く、加工適性も低いという課題がありました。
近年、注目を集めているのが、トランス型のアスタキサンチンをシス型に変換することです。シス型アスタキサンチンは、トランス型に比べて体内吸収性が高く、抗老化作用や抗炎症作用、肌質改善作用などの生理活性も高いことが明らかになっています。さらに、結晶性が低く、油脂への溶解度も高いため、加工しやすいというメリットも持ち合わせています。
画期的な製造技術の開発
しかし、シス型アスタキサンチンは天然資源として稀少で、安定性も低いことから、工業的に製造することが困難でした。そこで、名城大学と富士化学工業の研究グループは、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンエステルを効率的にシス型に変換する技術を開発しました。
この技術は、可食性の油脂を媒体とし、加熱式のフローリアクターを用いて高温・短時間処理を行うことで、アスタキサンチンエステルを効率的にシス型に異性化できるというものです。従来の異性化方法と比較して、反応時間を大幅に短縮し、化学薬品の使用も不要なため、安全性の高い製造プロセスを実現しました。
更なる研究開発と実用化へ
研究グループは、今後、この異性化技術を実生産スケールに適用できるよう、更なる研究開発を進めていきます。また、シス型アスタキサンチンエステルのさらなる価値創出やアプリケーション開発、安全性評価を行い、将来的には市場への上市を目指しています。
期待される健康効果と応用範囲
シス型アスタキサンチンは、従来のアスタキサンチンよりも高い体内吸収性と生理活性を持つことから、加齢性疾患の予防、美肌効果、眼精疲労の軽減、脳の認知機能向上など、幅広い健康効果が期待されています。
また、加工適性の向上により、食品や化粧品だけでなく、医薬品やサプリメントなど、様々な分野での応用展開も期待されています。名城大学と富士化学工業の研究成果は、人々の健康と美容に大きく貢献する可能性を秘めています。