Z世代とAI技術の融合
建築の未来を担うZ世代が、AIを通じて新たな価値を創造しようとする動きが福岡市で始まっています。2025年7月、九州産業大学建築都市工学部住居・インテリア学科と安⼼計画株式会社が連携し、1年生70名を対象にした特別授業「情報処理入門」が実施されました。この授業は、AIを活用した建築デザインの基礎を学ぶもので、学生たちにAI時代における人間の役割を考える機会を与えました。
特別授業の背景
建築業界においてはAIやVRといったデジタル技術の導入が進んでおり、これからの専門家に求められるのは、従来の知識に加え、最先端の情報処理能力です。このような環境の中、安⼼計画株式会社は九州産業大学のカリキュラムと連動した授業を企画し、1年生の段階から「なぜ情報処理が必要か」といった基礎的な内容から、3年生での実務への応用までを体系的に学びます。
入門編の内容と学生たちの反応
7月の授業では、香川治美教授が指導し、学生たちは住宅図面をもとに住人のライフスタイルを考察。さらに、AIによる分析と比較することで、技術の使い方や価値を具体的に考えさせる内容でした。授業後のアンケートでは、学生たちがAIの進化に驚き、自分たちの役割をどのように捉えているのかが浮き彫りになりました。
技術への驚き
生徒たちはAIの高い分析力に驚きを隠せず、「こんなに間取りに対する分析ができるとは思わなかった」といった感想が寄せられました。この経験を通じて、彼らは技術の進化を実感し、自身の専門性に対する理解を深めたようです。
人間の価値を再認識
また、AIを活用する中で、自分たちの役割を模索する声も多数ありました。「人間にはAIでは見抜けない視点を持つことの重要性を感じた」というコメントには、AIとの協業を意識した姿勢が表れています。
将来のキャリアに対する根源的な問い
講義の質疑応答では、AIと社会の変容に関する深い質問が多く、学生たちが未来を見据えていることが伺えました。「シンギュラリティは起こるか?」といった質問や「AIではできない職業は何か?」という問いは、彼らが自身のキャリアを広く考えている証です。
次回の授業に向けた実践的アプローチ
12月には、3年生を対象に「実践編」が予定されており、より実務に即した情報処理能力の修得を目指します。AIが生み出す架空の施主に対し、学生たちがプランニングを行う構成で、設計改善ループ体験や実務家からのレビューを取り入れた内容となっており、学びが実践に繋がる仕組みを強化しています。
教員と講師のコメント
香川教授は、「技術革新が進む建築業界で必要な情報処理技術を学生に伝えることが重要」と述べ、授業の目的を強調しました。一方、安⼼計画の岡原講師は、「AIの進化に驚きながらも、受講生たちが人間の役割を考えている姿には感銘を受けた」とコメントし、次回の実践編に期待を寄せています。
企業の背景
安⼼計画株式会社は1988年に設立された建築業界向けのプレゼンシステム専門企業で、現在は株式会社DTSのグループ会社でもあります。最先端のIT技術を活用し、建築業界の革新を追求しています。
このような取り組みを通じて、次世代の建築DX人材の育成に貢献していく姿勢を強調し、学生と業界の橋渡しを行う重要な役割を果たしていると言えます。