組込みソフトウェアエンジニア育成の新たな取り組み
The Linux Foundation (LF)と一般社団法人組込みシステム技術協会 (JASA)が手を組み、組込みソフトウェアエンジニアの育成とスキルアップを目指した協業に乗り出すことが発表されました。この提携により、両組織は教育分野において共同で新しいトレーニングプログラムや認定試験の開発を行っていくことが目標とされています。
背景
日本の産業界、特に自動車業界は現在、デジタル化や自動運転の技術革新が進む中で、組込みソフトウェアエンジニアの不足が深刻な問題となっています。現代の組込みシステム開発では、クラウドからエッジまでを通じる一貫したコネクティビティの確保や、サイバーセキュリティへの対策が求められ、これに伴い、ソフトウェアの重要性が増してきています。そのため、高度な専門知識を持つ次世代のエンジニアを育成するための新しい教育スキームが必要です。
JASAはこれまでも長年にわたり、毎年2,000〜3,000人の組込みソフトウェアエンジニアを育成・認定してきました。しかしながら、Linuxやオープンソースソフトウェアに関する専門的なトレーニングプログラムは未整備でした。一方、The Linux Foundationは、世界中で多くの技術者育成プログラムを展開しており、その豊富な経験と知識が今回の協業に活かされることになります。
共同イニシアチブの概要
この提携の重要なポイントは、組込みソフトウェアエンジニアのスキルセットを証明するための認定試験と、それに必要となるトレーニングプログラムを共同で開発することです。具体的には、LFが持つLinuxおよびOSSに関する専門知識と、JASAが展開している汎用的な教育プログラムを融合させ、より効果的な教育手法を確立します。
具体的な活動スケジュール
- - 2024年11月: MoU締結
- - 2025年3月: 教育プログラムの設計および一部開始
- - 2025年度: トレーニングプログラムの本格展開開始
- - 2025年度: 組込みソフトウェア開発に必要なスキルセットの定義と認定試験開始
これらのマイルストーンを達成することで、日本の組込み業界の発展に寄与することを目指しています。両組織の強みを融合させることで、業界全体を見渡した包括的な対応力を高め、スキルの向上や人材の育成に繋げていく考えです。
組込みシステム技術協会 (JASA) について
JASAは1986年に設立され、組込みシステム技術の高度化や効率化を目的として活動しています。業界の振興だけでなく、地域社会の発展や人材育成に向けた様々な事業も展開しています。詳細情報は
こちらをご覧ください。
The Linux Foundation について
The Linux Foundationは、オープンソースソフトウェアやハードウェア、スタンダード、データに関する世界最高レベルのコラボレーションを促進する団体です。さまざまな技術プロジェクトを通じて、協力者、ユーザー、ソリューションプロバイダーのニーズに応え、持続可能なオープンコラボレーションモデルの構築に特化しています。詳細は
linuxfoundation.orgを確認してください。
両組織の連携によって生まれる新たな教育プログラムが、多くのエンジニアのスキル向上に寄与することを期待しています。