ビスマスフェライトの新発見
2025-08-20 14:47:18

ビスマスフェライトの新結晶相発見が切り開く未来の技術へ

ビスマスフェライトにおける新たな結晶相の発見



近年、材料科学の分野において、ビスマスフェライト(BiFeO3)が注目を集めています。この材料は電気と磁気の両方の特性を持つ『マルチフェロイクス材料』として広く知られています。そのユニークな性質から、低消費電力のメモリデバイスや超高感度の磁気センサなどの多用途への応用が期待されています。ですが、その特性は結晶の状態、すなわち『結晶相』によって大きく左右されるのです。

熊本大学の半導体・デジタル研究教育機構に所属する佐藤幸生教授と、名古屋大学未来材料・システム研究所の永沼博特任教授による共同研究チームが、ビスマスフェライト薄膜中に新たな結晶相が存在することを発見しました。この研究成果は、最近『Journal of Alloys and Compounds』という科学雑誌に掲載され、注目されています。

新たな結晶相の発見



研究では、ビスマスフェライトをアルミニウム酸ランタン(LaAlO3)基板上に薄膜化し、先端的な技術を用いて観察を行いました。具体的には、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を利用し、原子レベルでの観察を実施しました。この方法により、結晶相の精密な判別が可能となり、特に歪み補正を行ったことで、原子間の距離を高精度で測定することが実現しました。

その結果、従来知られていなかった√2×√2の周期を持つ新しい結晶相が発見されたのです。この新しい結晶相の発見は、材料の微視的な構造と機能の関係を理解する上で大変重要なステップとされています。

マルチフェロイクス材料の未来



ビスマスフェライトの特性は、その結晶相によって大きく影響されます。今回の発見により、次世代メモリやスピントロニクス素子の設計に新たな視点が提供されることが期待されます。これにより、より高性能な電子デバイスの実現や、低消費電力での情報処理が可能になるかもしれません。

今後は、発見された新結晶相がどのように既存の技術に応用されていくのか、さらに詳しい研究が求められます。また、ビスマスフェライトだけでなく、他のマルチフェロイクス材料においても類似の現象が存在する可能性があり、研究の進展が期待されます。

この研究は、文部科学省の科学研究費補助金などの支援を受けて実施されました。

まとめ



ビスマスフェライトにおける新たな結晶相の発見は、材料科学の新しい扉を開くものです。この発見が将来的な技術革新へとつながり、人々の生活をより便利で快適にしていくことが期待されます。


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