2023年、Lee Ufan Arlesとゲランによって設立された「Art & Environment Prize」は、アートと環境への新しい視点を持つ作品に贈られる賞として注目されています。この賞は、毎年、環境とのかかわりをテーマにし、その中で普遍的な価値を持つ作品を評価基準としています。2025年の受賞者には、フランス系イラン人アーティストのPooya Abbasianが選ばれました。本賞は、李禹煥(リ・ウファン)の哲学と共鳴する深みのある作品を求め、芸術の継承と支援を促進することを目指しています。
Pooya Abbasianには、Lee Ufan Arlesでのアーティスト イン レジデンスにおいて、特別な制作スペースと支援プログラムが提供されます。2026年夏には、展示スペース「MA Atelier」で受賞作品が披露される予定です。アルル中心部に位置するこの独自の空間は、現代アートの創作活動を支援する場としても機能しています。Abbasianはこの地で自身のアートプロジェクトに取り組み、他のアーティストや専門家との交流を通じて、自身の作品への理解を深化させる機会を得ることができます。また、特にこのプログラムは、受賞者にとって国際的なキャリアを築くための重要なステップとなり、ゲランとの新しいコラボレーションが開かれる可能性も秘めています。
Art & Environment Prizeの審査は、李禹煥が委員長を務める審査団によって行われます。今年の審査員には、アート界の著名人たちが名を連ね、彼らの審美眼をもって選出されました。
Abbasianは、写真、ドローイング、映像、インスタレーションなど多岐にわたる手法を駆使しながら、現代社会における「イメージの位置と循環」に関するテーマを探求しています。彼の作品は、ヨーロッパの重要な展覧会や美術館でも紹介され、幅広い評価を得ています。
今回の受賞を機に、Abbasianは“Séneçon”という新しいプロジェクトに取り組む予定です。このプロジェクトは「雑草」と呼ばれる植物に着想を得て、人間の生活における価値観との対立をテーマにしています。環境に対する彼のアプローチは、植物の持つ自然への適応性や生存力に焦点を当て、人々が見過ごしがちな生命の価値を浮き彫りにします。このプロジェクトは、環境との関係性や生きることの意味を問いかける非常に重要なものです。
Abbasianの意図するところは、ただの記録ではなく、移動する生命の瞬間を捉え、それを視覚の中に具現化することです。観察と詩情が織りなすセレンディピティを通じて、彼は生きた環境との新しい関係を提案します。彼の作品が示すパラドックスは、私たちが生きる上での重要な問いを投げかけており、アートの持つ力を再認識させてくれます。
552件の応募の中から選ばれたファイナリストには、Abbasianを含む6名が名を連ねました。彼ら全員が独自の視点から環境に関する新しい解釈を提示しており、現代アートの多様性を証明する結果となりました。
このような取り組みを通じて、ゲランとLee Ufan Arlesは、アートと環境間の新たな対話を促進し、未来を担うアーティストたちの活動を支援することを目指しています。これからの活動がどのような展開を迎えるのか、大いに期待が高まります。