管理職が望むシェアド・リーダーシップの実現とその意義
近年、企業において「管理職が手放したい業務」として注目を集めているのが、部下の「メンタルケア」や「キャリア面談」です。これらの業務は、責任の重さや心理的負担から管理職にとって厳しい塊となることが少なくありません。そこで、株式会社シェイクが行った意識調査から、管理職の望みや組織の変化の必要性が浮き彫りになりました。
調査の概要
株式会社シェイクは、300名以上の規模の企業で働く正社員の管理職を対象に行った意識調査を基に、今後の組織やリーダーシップのあり方について掘り下げます。調査は2025年6月に実施され、1,020名の管理職が回答しました。この調査で明らかになったのは、管理職が主に期待される役割や、彼らが感じる負担についての実態です。
管理職が感じる期待と業務の負担
調査結果によると、課長職に対して特に強く求められている役割は、『部下のキャリア育成』が63.7%、次いで『業務指示と進捗管理』が50.2%、『モチベーションの維持』が48.5%とされています。部長職では、これらの比率がより高く、70.9%が『部下の指導・育成』を重要とし、また57.5%が『業務指示・進捗管理』に関する役割を強く感じていることが分かります。
一方で、管理職たちは「手放したい業務」として『メンタルケア』や『キャリア面談』を挙げ、高い負担感を示しています。これらの業務は、専門的な知識や時間的余裕が求められることから、自身が管理職として求められる役割と実際にやりたいこととの間にギャップを感じていることが伺えます。
シェアド・リーダーシップモデルの提案
このような状況の中、管理職が直面する業務負担の軽減策として「シェアド・リーダーシップ型組織」が注目されています。このモデルでは、組織内でのリーダーシップを特定の人に留まらず、全メンバーが適宜発揮することが推奨されます。調査によると、75.4%の管理職がこの型の組織に魅力を感じており、共感をもっていることが示されています。
しかし、このような新たな組織モデルには、統制の難しさや責任の所在が不明確になる懸念が提示されました。これを解決するためには、ルールの明確化や責任配分の再設計が求められるでしょう。
部下の育成への意欲
調査結果からも分かる通り、管理職は自らの業務負担を軽減しつつ、部下の指導・育成に対して高い意欲を持っています。課長職と部長職の両方において、『部下の成長を促す』という意識は非常に強いことが分かりました。特に、部長職の39.2%が経営層へと成長することに意欲を抱いている一方、多くの管理職は現場主義であり、実際の業務に根ざした役割を意識している様子が読み取れます。
リーダーシップ育成の重要性
今後の組織においては、若手社員がリーダーシップを発揮できるようにするための手法が必要です。調査によると、「成功体験を持たせる」「権限委譲」「挑戦を促す」ことが効果的とされています。特に若手が経験を通じて自信を持つことが、組織強化に繋がります。
まとめ
今回の調査により、管理職が求めている役割と実際の意識のギャップ、そして新たな組織モデルへの期待が明らかになりました。特に『部下の育成』に対する意欲が高く、心理的な負担を軽減する必要性が強いことが感じられました。今後、シェアド・リーダーシップによる組織改革が進むことで、より良い環境が作られ、個々の成長を支援する組織が生まれることが期待されます。これによって管理職と部下との間の関係性も深化し、効率的な業務運営へと繋がるのではないでしょうか。