新しい多孔質材料の可能性
2023年4月25日、株式会社シーエムシー出版から新刊『金属有機構造体(MOF)研究の動向と用途展開』が発売されます。本書は、金属イオンと有機物から構成された結晶性の多孔質材料であるMOFに関する最近の研究成果や応用についてまとめたもので、専門家による知見が詰まった一冊です。定価は税込67,100円で、全国の書店及びECサイトで購入可能です。
MOFの基本と研究の歴史
MOFは1990年代後半よりその研究が活発化し、最初は合成方法や物性の理解がメインでした。しかし、時が経つにつれ、MOFの応用性が広く認識され、特にガスの吸着や分離、さらには医薬品の貯蔵といった領域での研究が盛んになっています。本書では、これまでの流れを踏まえつつ、MOFの最新動向を探ることができます。
書籍の構成
本書は4つの章に分かれており、それぞれがMOFの異なる側面を取り上げています。
第1編: MOFの合成と設計
最初の編では、MOFの合成技術や設計についての解説が行われています。機械学習を活用した合成探索や金属ペプチド構造体(MPF)の開発、さらにはナノリアクターとしての機能についても触れています。特に、近年ではLayer-by-Layer法によるMOFナノ薄膜の構築が注目されている様子が伺えます。
第2編: MOFによるガスの吸着・分離・回収
この編では、ガスの吸着と分離に関する最新技術が紹介されています。MOFを使った省エネルギー型のガス分離技術や、CO2の回収システムについても詳述されており、環境問題の解決にも寄与する可能性が報告されています。
第3編: MOFの触媒としての機能と用途
第3編では、MOFの触媒としての利用について掘り下げています。特に可視光応答型の光触媒やバイオマスの変換に関する研究があり、触媒を利用した新しい化学プロセスの可能性も広がっています。
第4編: MOFの実用化に向けた用途展開
最終章では、MOFの実用化に向けた様々なアプローチが検討されています。電気化学産業への応用や高分子の構造認識技術、さらには酵素の固定化技術など、幅広い分野における将来性を示しています。
まとめ
この書籍は、金属有機構造体(MOF)に関する研究者や技術者のみならず、広く多孔質材料に興味を持つ人々にとっても貴重な資料となるでしょう。特に、先端技術の進展や環境問題に対するアプローチを探る機会を提供してくれます。MOFの可能性に触れ、新たな視点を得てみてはいかがでしょうか。