脳裏に刻まれる痛快なサスペンス!
黒川博行の堀内・伊達シリーズの最新長篇『熔果』が、11月28日に新潮文庫から発売されます。この作品は、彼のすでに人気を博す「疫病神」シリーズと並んで、期待を裏切らない出来栄えに仕上がっています。本書の舞台は博多駅付近で発生した、なんと5億円相当の金塊強奪事件。主人公の堀内信也は競売屋・ヒラヤマ総業の調査員である伊達誠一に誘われ、事件の真相を追うことになります。
この作品は、大阪府警の元刑事である堀内と伊達がバディを組んで、関西、九州、中部をBMWで駆け抜ける姿を描いています。彼らは様々な敵、例えばヤクザや半グレ、ブローカー、さらには汚職警官と対峙しながら、頭脳と暴力を駆使して捜査を進めていきます。一体、事件背後にどんな恐るべき闇の構図が潜んでいるのか、興味は尽きません。
黒川博行は、大阪ことばの使い手として巧妙な描写をし、令和を背景にした現代の犯罪を鋭く切り取っています。読者はページをめくる手が止まらず、一晩中夢中になってしまうでしょう。特に、解説を担当するのは関西の闇経済に詳しい朝日新聞記者・市田隆さん。彼は、『熔果』と黒川の作品の魅力を深く掘り下げており、新たな視点を提供しています。
著者について
黒川博行は1949年に愛媛県で生まれ、その後京都市立芸術大学を卒業しました。彼は大阪の高校で美術を教えた後、その才覚を生かして小説家としてのキャリアを築き始めます。彼のデビュー作は『二度のお別れ』で、以降も『雨に殺せば』『キャッツアイころがった』など多くの作品で評価されてきました。特に、2014年には『破門』で直木賞を受賞し、その名を全国に轟かせました。また、2020年には日本ミステリー文学大賞を受賞し、彼の作品がいかに日本の文学界に寄与しているかを示すものとなりました。
今後ますます注目される黒川博行の作品。『熔果』はそのひとつとして、痛快無比のクライム・サスペンスを求める読者にとって、絶対に手に入れたい一冊となっています。彼の精緻な文体と、リアルなストーリー展開に魅了されること間違いなしです。