新しい資本主義を推進するジョブ型人事の重要性とは

新しい資本主義を実現するためのジョブ型人事

令和6年9月10日、経団連が主催した「ジョブ型人事説明会」において、内閣総理大臣の岸田文雄氏がビデオメッセージを通じて挨拶を行いました。この説明会は、日本の働き方と経済の未来を見据えた重要な場であり、「新しい資本主義」とその実現に向けた「人への投資」の重要性が強調されました。

岸田総理は、人々の働き方が大きく変化していることを指摘しました。かつては「キャリアは会社から与えられるもの」とされていましたが、今や「一人ひとりが自らのキャリアを選択する」時代が到来したと述べています。この変化を受け、「職務ごとに必要とされるスキル」を明確にし、従業員が自らスキルを再習得し、職務を選択できるようなシステムの構築が求められています。

このシステムの導入により、年齢にかかわらず、すべての従業員がその能力を最大限に発揮できる環境を整えることが重要です。特に、若手社員やシニア層が自らの強みを活かしながら生き生きと働く姿が見られることが、持続可能な経済成長に繋がるのです。

さらに、岸田総理は、持続的な賃上げを実現するためには、労使の協力が不可欠であると強調しました。春季労使交渉において、労働生産性やマークアップ率の向上に加え、付加価値の拡大が必要であると述べています。このような施策を通じて、「内部労働市場」と「外部労働市場」を結び、社外からの経験豊富な人材を採用することが急務であるとしています。

特に大企業にとっては、ジョブ型人事の導入が重要であるというメッセージが強調されました。企業はそれぞれの経営戦略や歴史に基づき、自社に合った導入方法を検討することが求められています。これに対して、既にジョブ型人事を導入している企業の協力を得て、多くの事例を集めた「ジョブ型人事指針」が発表され、具体的な導入例が示されています。

9月5日には官邸で「ジョブ型人事推進会議」が開催され、導入企業の経営トップが集まって意見交換を行いました。今後は、富士通の時田社長などが、実際の導入方法に関する解説を行う予定です。この説明会を通じて、企業は自社に合った導入方法を模索し、自らのスタイルでの実践が期待されています。

総理は挨拶の締めくくりに、経団連の淡輪経団連雇用政策委員長への感謝の言葉を述べ、経済界全体の協力を呼びかけました。新しい資本主義実現に向けた具体的な取り組みは、今後の日本の持続可能な成長に寄与することでしょう。