国家の安全保障を支えるサイバー防御力強化
近年、サイバー空間における脅威は高度化の一途を辿っています。特に、人工知能(AI)を用いた攻撃や量子計算機の台頭は、従来のセキュリティ対策では対応できない新たな課題を生み出しています。こうした状況を受け、NEDOは経済安全保障を強化・推進する観点から、「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)」の一環として、「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」の研究開発に着手しました。
本事業は、サイバー空間における状況把握力、防御力の向上、そして評価技術の開発を柱としています。具体的には、以下の4つのテーマに取り組みます。
1.
サイバー空間の状況把握力強化: サイバー空間の情報収集・調査能力の強化により、潜在的な脅威を早期に発見し、対策を講じることができるようにします。
2.
防御力強化: AIや量子計算機を用いた新たな攻撃手法に対抗できる、高度な防御技術の開発を進めます。
3.
共通基盤の整備: セキュリティ対策に関する技術やノウハウの共有を促進し、日本全体のサイバー防御力を強化するための基盤整備を行います。
4.
セキュアな量子情報通信技術の開発: 量子コンピュータによる暗号化の脅威に対抗するため、量子情報通信技術の開発を進めます。
本事業には、一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアムと株式会社日立製作所が参画し、それぞれ290億円以下と30億円以下の予算で研究開発を進めます。
経済安全保障強化に向けた取り組み
「経済安全保障重要技術育成プログラム」は、世界的な科学技術競争の中で日本の技術的優位性を確保し、国家の安全保障を強化するために創設されました。本プログラムでは、NEDOが造成した基金を活用し、国が定める研究開発ビジョンに基づいて、重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進しています。
「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」は、このプログラムの支援対象の一つであり、日本のサイバー空間における安全保障を強化するための重要な取り組みです。NEDOは、本事業を通して、AIや量子計算機などの技術革新に対応できる、高度なサイバー防御体制を構築し、我が国の経済安全保障を強化していくことを目指しています。