損害保険ジャパン株式会社(以下「損保ジャパン」)と米国のNarvar, Inc.(以下「Narvar」)が業務提携し、2024年8月26日から新しいEC返品サービス「Return+(リターンプラス)」を開始する。このサービスは、日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(以下「EAJ」)が主導し、消費者とEC事業者の双方にとって利便性を高めることを目指している。
EC市場の現状と課題
コロナ禍以降、EC(Electronic Commerce)の急成長が続いているが、一方で商品返品に関する課題が浮き彫りになっている。Narvarによる調査結果でも、96%の消費者が返品プロセスに満足したECサイトで再度購入する意向を示す一方、33%は返品が不便な店舗では次回購入しないという意見がある。このようなデータを受け、損保ジャパンは消費者の返品体験を良好にし、結果としてEC売上の拡大につなげようと考えた。
「Return+(リターンプラス)」の特徴
「Return+」では、購入者が自らの注文履歴から返品したい商品を選択し、提供される複数の返品方法の中から最も便利な方法を選ぶことができる。これには、梱包不要の店舗返品や、QRコードを利用したペーパーレス返品のオプションも含まれ、顧客にとっての利便性が高まる。
一方、EC事業者もこのサービスの導入によって、手作業での返品業務からの解放が可能となり、社内の運用効率を向上させる。また、返品理由や傾向は自動的に分析され、管理ページに表示されるため、商品改善や新たな商品開発に活用されるなど、ビジネス面でのメリットも大きい。
各社の役割と今後の展望
この新サービスにおいては、損保ジャパンが「Return+」利用事業者のビジネスを支える損害保険を提供する役割を担い、Narvarが使用される直感的な返品UIを提供。EAJはこのサービスの事業主体として、返品送料の固定化と共に、全てのプロセスをワンパッケージで提供する。
損保ジャパンは今後、「安心・安全・健康」で満ちた未来を目指し、NarvarやEAJとの連携を強化し、EC事業者・商品購入者の問題解決に取り組む方針だ。これにより、両社の協力がもたらす実績が期待される。
Narvarの背景
Narvarは、2012年に創業された企業で、ECにおける注文後の顧客体験を向上するためのプラットフォームを提供する。一流の顧客体験を生むインターフェイスや広範なネットワークを持ち、現在では世界中で1300社以上が導入している。2021年から日本でもサービス展開を始め、着実に利用事例を増やしている。これからの日本市場でも、Narvarの技術力が期待される。
まとめ
「Return+」の導入は、コロナ禍以降のEC購買の変化に応える新しい取り組みであり、消費者の負担を軽減し、EC事業者の収益を向上させる大きな一歩となる。今後、EC返品サービスの進化に注目が集まりそうだ。