WOOLRICHが北極圏で捉えた自然の美しさとそのメッセージ
アメリカ最古のアウトドアブランド「WOOLRICH(ウールリッチ)」が新たなプロジェクトを始動しました。北極圏での撮影を行ったのは、幅広いジャンルで活躍する写真家・腰塚光晃氏です。本記事では、彼がどのようにして最前線である北極圏の美しい自然と向き合い、メッセージを発信しているのかを探ります。
消えゆく氷を記録するため、北極へ
腰塚氏は、写真を通じて大切なメッセージを伝えることを自身の使命とし、これまでに多くの素晴らしい作品を生み出してきました。近年、彼は北極圏に関心を寄せ、特に温暖化の影響が顕著な地域として注目しています。研究によれば、北極の氷は急速に減少しており、2050年には夏季に完全に消える可能性が指摘されています。この衝撃的な内容を耳にした彼は、消え行く氷を記録するべくグリーンランドへの撮影を決意しました。
ARCTIC PARKAとともに立つ、極寒の現場
グリーンランド・イルリサットには、北半球でも最も活発なヤコブスハブン氷河があります。その地で、腰塚氏はWOOLRICHの代表作「ARCTIC PARKA」を身にまとい、氷山と自然に囲まれながらカメラを構えました。厳しい寒さの中、徐々に条件が厳しくなり、暗くなる夕方にも彼は撮影を続けました。ARCTIC PARKAの持つ耐寒性は彼を支え、まさに自然と調和する装備としてその使命を全うしました。「寒さを感じたのは顔だけだった」という言葉からも、彼がそのパーカーによる安心感を感じたことが伺えます。
氷山、夕陽、そして先人たちの記憶
撮影の最終日、夕暮れ時に空が燃えるような赤色に染まる美しい光景が広がりました。その中で浮かぶ氷山が、夕陽を浴びて幻想的な表情を見せます。撮影を終え、暗闇に向かって下山していると、19世紀末のイヌイットの古い墓地に遭遇しました。無数の十字架が夕陽に照らされ、ここで自然と共に生きた先人の存在感を強く感じたのです。彼の頭の中には、彼らが残してきたメッセージがふと浮かんだことでしょう。
氷が問いかける、これからの生き方
撮影の後、アイスランドを訪れた腰塚氏は、かつて氷に覆われていた風景を目の当たりにしました。かつての景観が姿を消しつつある中で、彼はグリーンランドの未来像を重ね合わせます。人類は過去のライフスタイルの中に多くの知恵と答えを抱えており、自己中心的ではなく自然を尊重する生き方に目を向ける必要があると考えたのです。
WOOLRICHは、厳しい自然環境で生きる人々を支えるために誕生しました。腰塚光晃氏と共に北極圏での撮影を通じて、彼の視線はブランドの根源を映し出し、未来へ向けた重要なメッセージを投げかけています。彼の作品が私たちに何を伝え、どのように未来へと導くのか、今後の展望が楽しみです。