岡山大学の冨樫庸介教授が「第22回日本学術振興会賞」を受賞したことが発表された。この賞は、日本の学術研究の発展を目的とし、若手研究者の優れた研究を称えるものだ。授賞式は2025年2月3日に東京の日本学士院で行われる予定だ。
冨樫教授は、同大学の学術研究院医歯薬学域で教授を務めており、研究内容はがん免疫に関するものだ。具体的には、がん細胞が持つミトコンドリアがT細胞に影響を与え、がん免疫を逃れる新たなメカニズムを解明した。この研究は、腫瘍浸潤T細胞の機能が微小環境によって減少することに関連しており、がん治療における重要な知見を提供している。
研究の過程では、マウス実験を用いて、変異ミトコンドリアを持つT細胞が機能低下を示すことが確認され、免疫療法の効果が阻害されることが明らかになった。また、ヒトの臨床検体の解析によって、変異ミトコンドリアを有するがん患者が、そうでない患者よりも免疫チェックポイント阻害による治療効果が劣ることが明示された。この発見は、がん免疫療法の新たな視点を提供するものであり、学術的にも大きな意義を持つ。
さらに、冨樫教授は呼吸器内科の教授でもあり、Physician Scientistの育成に寄与している。これからの日本の医療において重要な役割を果たす人材として期待が寄せられている。受賞に際して冨樫教授は、「このたびの受賞を大変光栄に思います。共同研究者や研究室のメンバーの努力、支援してくださった方々に感謝申し上げます。この成果を基に、未解決の課題に挑み続け、学術の発展や社会への貢献、次世代の育成に尽力していきます」とコメントしている。
岡山大学は、持続可能な開発目標(SDGs)を支援する国立大学法人であり、革新的な研究と教育を通じて地域社会や国際的な課題に取り組んでいる。今後も冨樫教授を含む研究者たちの成果を通じて、医学・医療の分野での進展に期待が高まる。岡山大学の、持続可能な未来への貢献に目が離せない。
さらなる詳細は、岡山大学の公式サイトを参考にしてほしい。