スマホタッチ支払いの新展開
株式会社アクアビットスパイラルズは、KDDI株式会社との連携により、公共交通向けキャッシュレスシステム「スマホタッチ支払い」に新たにPayPay決済機能を追加します。この取り組みは、2025年3月25日から宇和島自動車株式会社の「おでかけスマホパス」において運用を開始します。
キャッシュレス化が進む背景
近年、全国の公共交通事業者は運転士の負担軽減と運賃収受業務の効率化を目指してキャッシュレス化に取り組んでいます。国土交通省も「完全キャッシュレスバス」の実現を目指し実証実験を行い、クレジットカードやQRコードによる決済方法が増加しています。しかし、従来のシステムには専用の決済端末が必要であり、特に地方の交通事業者にはコストの負担が大きいという課題がありました。
一方、QRコード決済の導入は簡易ですが、利用者が運賃を手入力する必要があり、煩わしさが指摘されていました。アクアビットスパイラルズは、これらの問題を解決する方法を模索し、PayPay決済の導入に至りました。
「おでかけスマホパス」の利便性
新たに導入される「おでかけスマホパス」は、バス車内に設置されたNFCプレートにスマートフォンをかざすだけで、GNSSを用いて自動で乗降位置を特定します。その後、クラウドで区間運賃が計算され、PayPayにより即時決済が行われます。この仕組みによって、クレジットカードを持たない方でもスマートフォン一つでキャッシュレスの利点を享受できるようになります。
PayPayのユーザー数は国内で6,500万人を超えているため、地域住民だけでなく観光客や若年層にとっても大きなメリットがあります。さらに、専用機器なしで導入することが可能なので、交通事業者のコスト削減にも寄与します。地域の公共交通の活性化にもつながることが期待されます。
サービスの詳細
「おでかけスマホパス」は2023年9月より宇和島自動車が提供を開始したキャッシュレス乗車システムです。このサービスでは松山線をはじめ、宇和島自動車が運行する全ての路線で自由に区間運賃を支払うことができます。PayPay決済の導入により、2025年3月25日から道後・松山~宇和島・城辺線での利用が開始されます。対象路線は宇和島自動車が運行する一般路線バス全線で、訪れることができる便利な交通手段となります。
各社の役割
このプロジェクトには、宇和島自動車株式会社が交通サービスを提供し、アクアビットスパイラルズがNFCプレートと公共交通機関向けの乗車チケットシステムを提供します。また、KDDI株式会社は、位置情報をもとに運賃を計算するシステムの設計と運用支援を行います。
アクアビットスパイラルズはこれからも地域の交通事業者や自治体と連携し、導入や維持が容易で使いやすいキャッシュレスシステムの開発と提供を進め、地域公共交通の支援に尽力していきます。今後はこのような新しい技術を駆使したサービスが、さらなる普及を遂げることが期待されます。