アルミニウムのサーキュラーエコノミーに向けた新たな取り組み
近年、世界は資源不足や気候変動の影響に直面しており、持続可能な社会を実現するためのサーキュラーエコノミー(CE)の重要性がますます高まっています。特に、アルミニウムはその製造プロセスにおける環境影響が大きく、持続可能な利活用が求められています。この背景を受けて、みずほ銀行をはじめとする企業が連携し、アルミニウムのCE実現に向けた新たな取り組みを始めています。
背景情報
アルミニウムはボーキサイトから製造される新地金と、スクラップをリサイクルして作るリサイクルアルミに分類されます。新地金の製造は多くの電力を必要とし、その結果、温室効果ガス(GHG)の排出が大きな課題となっています。一方で、リサイクルアルミの製造は、GHG排出量を新地金の約30分の1に削減することができます。このような点から、リサイクルアルミの活用は環境面でも経済面でも非常に有利です。
日本国内では、新地金の需要がすべて輸入に依存している一方で、多くの中古製品や廃材が海外に流出しています。この二重の問題解決を目指し、国内でのアルミニウムリサイクルの強化が求められています。そこで、みずほグループと日本軽金属グループ、TREグループが連携し、国内初となるアルミニウムのクローズドループ技術の実現に取り組むこととなりました。
実施内容と取り組み
具体的には、日本軽金属グループで使用したトラック架装の廃車が、TREグループのリバー株式会社で解体選別されます。その後、得られた再生素材は日本軽金属グループで溶解、成分分析が行われ、最終的にトラック架装の製造に用いられる押出素材が作られるという流れです。この実証を通じて、クローズドループの構築に向けた可能性が確認されました。
今後は、このリサイクル材を活用したトラック架装の製造に向けた検討を推進し、さらなる選別技術向上に取り組むことで、より多くのクローズドループの実現を目指します。
各社の役割
みずほ銀行はCEをサステナブルビジネスの重要な領域と位置づけ、さまざまな機能を通じて資源循環型サプライチェーンの構築を目指しています。実証事業の取りまとめ、支援・助言、リースレンタル機能の提供など、各分野での役割を果たします。
一方、日本軽金属グループは、カーボンニュートラルの達成に向けてリサイクル技術の確立やクローズドループサプライチェーンの構築を進めています。本実証においても、自らの経験を活かしてリサイクル架装の実現を目指します。
TREグループは、これまで資源化が困難であった廃棄物等の資源化に挑戦し、限りある資源を効率よく活用することに注力しています。このプロジェクトを通じて高度な選別技術を駆使し、廃トラックのアルミ部品を解体し、新しいリサイクルの可能性を見出しています。
未来への展望
この取り組みは、アルミニウムリサイクルの新たな時代を開く可能性を秘めています。今後、この実証をきっかけに、国内でのアルミニウム資源の循環利用が進展し、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。持続可能性を重視する企業として、今後の展開に注目が集まります。
このプロジェクトが示す教訓は、個々の企業の力を結集することで、大きな変革を生み出すことができるということです。