リート市場の金利上昇が示す実需マンション市場の危機
最近の調査によると、東証リート指数は長期金利の上昇の影響を受けて低下しています。この現象は、今後の中古マンション市場に対する警鐘と受け取ることができます。今日、私たちは「金利がある世界」に生きており、これが消費者の購買行動にどのように影響するかを考える必要があります。
1. 金利上昇がマンション価格に及ぼす影響
東京都23区での9000万円以下の中古マンションの成約坪単価の推移を見てみると、2024年以降は横ばいか下降傾向にあることがわかります。これは、高騰した中古マンション価格が消費者にとって限界に達していることを示しています。さらに、住宅ローン金利の上昇が加われば、家計の負担が増大し、購入需要が減少することで、中古マンション価格も下がる可能性が高まると考えられます。
2. リート市場に見る金利上昇の影響
2-1: 日経平均とリート指数の関係
日経平均株価と東証リート指数の動きを分析すると、2022年までは両者は同じ方向に推移していました。しかしそれ以降、日経平均は高騰し、一方でリート指数は下落に転じました。この二つの市場の相互作用について考える必要があります。
2-2: リート指数の下落理由
リート指数が下落した背景には、2022年以降の長期金利の上昇があります。特に、10年物国債の利回りの上昇がリート市場に与えた影響は大きいです。投資家は国債の利回りを魅力的に感じ、相対的に低い配当利回りのリートは売り圧力を高めているのです。借入コストの上昇もあり、リート市場への投資が難しくなっています。
3. リート市場の動きが実需市場に警告を発する
多くの日本人が変動金利型の住宅ローンを利用していますが、金利が上がることで、その影響は明確に現れるでしょう。リート市場は、不動産業界の専門家にとって重要な指標であり、実需市場の動きを先行して示しています。そのため、リート市場の動向を無視することはできません。
結論
消費者としては、今後の中古マンション市場にも楽観的ではいられない状況と言えるでしょう。金利が上昇し続ける中で、これからのマンション市場はどのように変化するのか注目が必要です。福嶋真司氏の洞察をもとに、私たちも市場動向を見極めていく必要があります。
福嶋真司氏のプロフィール
福嶋真司氏は、マンションリサーチ株式会社の不動産データ分析責任者です。早稲田大学理工学部で学び、大手不動産会社での経験を経て現在に至ります。彼は、不動産市場の調査やデータ分析を行い、顧客企業の意思決定をサポートする重要な役割を担っています。
福嶋総研の最新情報は
こちらからご覧いただけます。また、メルマガの配信申込は
こちらで行っています。
さらに、全国の中古マンションについての詳細なデータは
マンションナビで公開しています。