ホタテからヘルメット
2022-12-14 15:00:01
北海道猿払村が誇るホタテ貝殻から生まれる環境配慮型ヘルメット
北海道北部に位置する猿払村は、日本一のホタテの水揚げ量を誇る村です。しかし、その豊かな自然資源には、同時に大きな環境課題が伴っています。年間約4万トンものホタテの貝殻が廃棄され、そのほとんどが処理されたり、放置されているのが現状です。この状況を受けて、猿払村内で新たな試みが始まりました。まず目を引くのが、環境配慮型ヘルメット「HOTAMET」の開発です。これは、ホタテ貝殻をリサイクルしてできた新素材「カラスチック®︎」を使用しています。
「HOTAMET」は、貝殻の特性を生かし、安全性を高めました。貝殻の炭酸カルシウムを主成分としたこの素材は、軽量でありながら高い耐久性を誇ります。また、廃棄プラスチックを融合させることにより、CO2の削減にも寄与しています。具体的には、新品のプラスチックと比較して最大36%のCO2削減が期待されるという数字も出ています。
このプロジェクトは、地域社会にとっても大きな意味を持ちます。水産系廃棄物問題の解決は猿払村にとって重要な課題でしたが、今回の取り組みにより、再資源化の流れが加速することが期待されています。甲子化学工業株式会社の南原徹也氏は、この素材開発を通じて、地域社会と環境への負担を軽減する持続可能な方法を示していくことを目指しています。
「HOTAMET」は、バイオミミクリーをデザインに採用しています。自然界の仕組みを応用したこのヘルメットは、少ない素材使用量でありながら、持つべき強度と耐久性を兼ね備えています。そのデザインには、ホタテ貝の構造を模倣したリブ構造が採用されています。これにより、約30%も耐久性を向上させることに成功しました。
カラー展開は、CORAL WHITE(コーラルホワイト)、SAND CREAM(サンドクリーム)、DEEP BLACK(ディープブラック)、OCEAN BLUE(オーシャンブルー)、SUNSET PINK(サンセットピンク)の5色。漁業から防災、一般向けの使用まで、多岐にわたるニーズに応える製品となっています。特に、漁師たちや地域住民が防災用品としても活用できることを期待されており、地域の安全向上にも貢献することでしょう。
今後の展開に関しても注目が集まります。仙台銀行での先行予約販売を経て、2023年には全国での販売が予定されています。また、猿払村ではこの「HOTAMET」をふるさと納税の返礼品として導入することも検討されており、その認知度向上や地域経済の活性化にも寄与することが見込まれています。地元の漁師たちの安全を守ることができる「HOTAMET」は、未来の持続可能な社会の新たな一歩として期待されています。
私たちの生活に新たな価値を提供するこのヘルメットは、環境への意識を高めると同時に、地域資源の新しい使い方を示す例として、今後さらなる展開に期待が寄せられています。猿払村のホタテ貝殻が未来を切り開くことを願ってやみません。
会社情報
- 会社名
-
甲子化学工業株式会社
- 住所
- 大阪府大阪市東成区東小橋1-12-20
- 電話番号
-
072-962-6012