新たな環境基準に応えたLNG燃料フェリーの就航
三井E&S造船株式会社(東京都港区)は、内海造船株式会社(広島県尾道市)と共同で、環境に配慮したLNG燃料を使用するフェリー「さんふらわあ かむい」の就航を発表しました。この船は、大洗~苫小牧の航路初のLNG燃料フェリーであり、その初航海は2023年の一歩を踏み出しています。
LNG燃料フェリー「さんふらわあ かむい」
「さんふらわあ かむい」は、15,512トンという大きな船体を持ち、最新のガス燃料供給装置(FGSS: Fuel Gas Supply System)を搭載しています。三井E&S造船は、FGSSを通じて、この大型フェリーの環境性能を向上させる役割を担っています。
同社は、ガスパートエンジニアリングとLNG燃料タンクを含むFGSS一式の供給を行い、内海造船と協力して、本船の設計初期段階から最適な機器構成や燃料タンク容量を検討してきました。また、各種機器の調達やコミッショニング、竣工後のアフターサービスも一貫して対応しています。
環境への配慮と規制対応
現在、脱炭素社会の実現に向けた厳しい環境規制が求められており、船舶の燃料も重油専燃から新たな燃料へとシフトしています。この流れの中で、三井E&S造船は多くのガス運搬船の設計と建造において豊富な実績を持ち、LNG燃料の技術を駆使して新たな市場に対応しています。
「さんふらわあ かむい」は、これらの技術を使うことで、より効率的で環境に優しい輸送を実現しています。この船の改良された燃料供給システムは、燃料消費を効率化し、航海時の二酸化炭素排出量の削減に寄与するのです。
未来への展望
三井E&S造船は、今後もこれまでの経験と高度な技術力を基に、新燃料を利用した二元燃料船の導入に関して、柔軟に顧客のニーズに応える姿勢を継続していきます。これにより、海上輸送の安全性向上と船員の労働環境の改善も模索しています。
また、三井E&S造船自身は1977年からのLNG船建造の経験を活かし、社会の課題に積極的に取り組むファブレスのエンジニアリング会社としての役割を果たしていく考えです。
会社情報
三井E&S造船は、設立約100年の歴史を持つ企業で、設計エンジニアリングサービス、舶用機器の提供、そして新燃料関連機器のエンジニアリングなど、幅広い事業を展開しています。今回の「さんふらわあ かむい」のように、環境に配慮した新しい航海のスタイルを提案し続けることで、未来の輸送業界をリードしていくことでしょう。
「さんふらわあ かむい」の就航は、ただの船舶の導入に留まらず、運輸業界における持続可能な未来を切り拓く一歩とも言えるのです。